Kumamoto Hotel Castle （２）万華鏡
これらは、数年前に熊本ホテルキャッスル１階 ダイニングキッチン九曜杏の当時の料理長（数年前に退職）が作ってくれた料理群である。
これはグランドメニューには勿論ないが、同料理長の腕の見せ所であり、料理人と客との闘いの場でもあった。
この料理群は「万華鏡」と名付け、筆者オリジナル料理として提供してくれていたもので、毎回、足を運ぶたびに、料理人と客との間に火花が散った、想い出深き料理たちである。
コロナ以前の話なので、予約なしで、その時に厨房にある食材で如何にサプライズするかの料理でもあり、足を運ぶたびに、とても愉快なランチタイムであったことを想い出す。
料理は盛り付けで決まるが、即興といえども、結構短時間に盛り付けを済ませ、黒服が慎重にテーブルへ運んでくれる。少しでも傾けば、料理長の作品が台無しになってしまうからだ。
しかし、この「万華鏡」は同料理長が退職して以来、目の前にサーブされることが無くなり、更にコロナ禍となり、そんな贅沢な闘いをする余裕など双方に無かったのである。
キャンバスに色鮮やかに描き込まれた絵画のように、アーティスティックな盛り付けである。勿体無い話だが、退職するには少々早過ぎたのではなかろうかと思うばかり。
現在、休業しているフレンチレストラン「トゥール・ド・シャト」（同ホテル１１階）であるが、同店料理長はミシュランの星を持つレストランで修行したこともあり、彼の料理を今か今かと鶴首しているところである。
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