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逸品一筆

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何と言っても、グルメは最高ですね。このマガジンでは、「これは、旨い!」と叫びたくなるほどの和洋中の逸品を具にご紹介したいと思います。ホテルレストランや町場の食事処の逸品を、是非、… もっと読む
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#脇宮盛久

あの人に会いたい・・・善家 繁

 現在、ICTやホテル文化と食文化、私塾「Well Done」主催、取材など、コンサルティング業務を主軸として日々活動している筆者である。  実は、ホテル文化と食文化の基礎を築いてくれたのが、当時、熊本ホテルキャッスル四川料理 桃花源の料理長(最終職位:同ホテル常務取締役兼総料理長)であった善家繁(ゼンケシゲル)氏との出逢いであった。  元々、食文化については、ICTを本業としながらも、自分なりに研究を重ね、和洋中いずれも、五つ星ホテルレストランから町場の人気レストランま

肥後うまか赤鶏 はりはりつけ蕎麦

 2021年10月1日、熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏に登場した、待望の新メニュー「肥後うまか赤鶏 はりはりつけ蕎麦」(1800円/税サ込)。早いもので、初めて食してから1年8ヶ月経つ。  この蕎麦の特徴は、肥後赤鶏の旨みが凝縮された付け出汁にある。熱々の蕎麦を出汁に付けながら食すが、普通の蕎麦のつゆと比べれば、つゆが前面に尖ることはない。よって、素材の味を十分に楽しむことができる。  また、お盆の向こうには、可愛い稲荷寿司2個、出汁巻きや天ぷらなどもあり

肥後「七福いなり弁当」・・・期限迫る!

 七種の豪華な「いなり寿司」がセットになっている、肥後「七福いなり弁当」。具材の素晴らしさは、『七つ星弁当』と言っても良いようだ。  残念ながら一年に一度の期間限定で、僅か一週間しか無いので、ぼーっとしていてタイミングを逸すると、これより1年間待たなければならい。  御献立のように、右から順に食すことにした。日頃は、この大きさの「いなり寿司」は一口でポンポン食べてしまうが、今日は、一つ一つ具材を確認しながら、じっくりと味わうことに。  意表を突かれたのは、三番目の胡桃い

日本食文化の原点、『おにぎり』。・・・糠漬けの香の物とで最強最高となる!

<最強最高の『おにぎり』>  つい最近、頂き物の米の食べ比べをしてみた。一つは、熊本県菊池の『七城砂田米』、もう一つは熊本県『阿蘇のコシヒカリ』。  人それぞれに好みの問題なので、当然の如く、甲乙付け難いと言いたい。  ただ、双方の共通している点は、県内他地域のヒノヒカリやその他の米と比較すると、米自体がすこぶる重い。根本的に違うのは粘りや腰だが、特に砂田米の風味や喉越しは素晴らしい。  調理法によっても、その米の良さを引き出し方が異なるので、阿蘇のコシヒカリは、チャ

脇宮盛久作『初春を寿ぐ 縁と結の新たな門出』・・・これは、参った!

 本日、博多から筆者と打ち合わせのために、大切な方々が3名来熊。先ずは、昼から腹拵えをして、会合に臨むことにした。  ここで登場するのは、当然の如く、熊本ホテルキャッスル和食料理長の脇宮盛久氏である。毎度のことだが、今回も無理難題を振ってしまった。  出されたのは、この料理たちである。彩鮮やかにて、一つ一つの食材が生き生きとしている料理ばかり。パーフェクトな接待になると確信した。  食事の中で、博多のボスが一言。「この、ふぐの白子美味いですね~!」と。筆者も唸りっ放しだ

数年ぶりの『馬肉のうまか蒲焼き膳』・・・地産地消らしく、馬肉と辛子蓮根が光る!

 『馬肉のうまか蒲焼き膳』は、熊本ホテルキャッスル ダイニングキッチン九曜杏の地産地消メニューだが、数年ぶりに食すことにした。  写真のように、メインに馬肉の蒲焼、左手に辛子蓮根がキラリと光る。また、右手に吸い物、右奥にはホルモン、中央奥には小鉢に酢の物、その左手に香の物。  山椒があったので、鰻の蒲焼のように、サラッと振り掛けて食したのだった。山椒の有る無しでは旨さが変わる。もう少しタレが多ければ、ご飯御代わりとなったのに。  同レストランでは入り口で、岩本憲治食堂部

何事も、真剣勝負!・・・脇宮盛久 vs 西田親生

 いつも無理難題を持ち込んでしまう筆者だが、一度も嫌な顔もせず、果敢に攻めてくる匠がいる。その人の名は、脇宮盛久。熊本ホテルキャッスルの和食料理長である。  五十代で黄綬褒章と現代の名工を受章した、凄腕の和食料理人である。リーズナブルなものから特別料理まで、手抜きをすることはない。  自ら監修したという『辛子明太子』が実に旨い。時折、ざる蕎麦を頼むときに、必ずと言って良いほど、この逸品が詰まったおにぎりを注文する。  甘味も辛味もバランス良く、深みのある味わいに、おにぎ

脇宮盛久の世界(6)・・・『焼物』

 金目鯛と赤茄子錦繍焼き 山芋とろめんソース 銀杏 零余子 海胆 裂き松茸 紅葉芋 ざくろ茗荷  器も素晴らしいが、これはアートである。器の中央にちょろんと盛ってあるが、食材が何が何やら分からぬほどの造形美に見入ってしまった。  お味のほどは、言わずもがな。流石に、脇宮盛久流の会席料理である。

脇宮盛久の世界(5)・・・『煮物』

(牡蠣西京煮 水晶絞り 海老芋 小蕪 黄金たもぎ茸)  透明なフィルムを紐で結んであった。火傷しないように、サラッと解ける紐。開くと、牡蠣の風味がパッと広がり、食欲を唆る。  牡蠣は牡蠣でも西京煮。そこに小蕪と黄金たもぎ茸が添えてあり、土台に海老芋。全ての食材が互いに邪魔をせず、繊細な融合を見せてくれた。  熱々にサーブされたので、最後まで冷めることはない。いやはや、西京焼きや西京煮が大好きな筆者なので、最後の一滴まで啜ってしまった。

脇宮盛久の世界(4)・・・『造り』

<皮剥肝巻・中とろ・ごま鯖の造り>  これは、絶句するほど、旨かった。三種の刺身に、三種の割橙酢、土佐酢、ごまだれが添えられ、一つ一つの刺身の最高の味を引き出していた。  贅沢な造りだが、特に、皮剥肝巻は圧巻であった。

脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』

 先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。  『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。  会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。  最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見し

脇宮盛久の世界(1)・・・『先付』伊勢海老どんぶりジュレかけ

 会席料理『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』の最初にサーブされた『先付』。独特な器の上で伊勢海老が主人公として、金箔が添えられている。  今宵のディナーは、脇宮流の『宝石箱』が飛び出してきそうな予感。  お味の程は、伊勢海老の香ばしさと甘みが口の中に広がり、一口で食すのが勿体無いほどのものである。 ※脇宮盛久料理長:黄綬褒章及び現代の名工受章者

温かい『粥』が腑に染み渡る・・・『鱶鰭東寺粥』

 昨夜、旧友と数十年ぶりの『再会の宴』を楽しませて頂いたが、最後の〆として『粥』が振る舞われた。  『鱶鰭東寺粥』(桜海老、おこげ、軸三つ葉)に香の物が付いている。熱々の『粥』に、トッピングされた桜海老の上に、優しくとろみにのあるフカヒレを注ぎ込む。実にシンプルだが、とても複雑な味の融合を楽しめる逸品であった。  幼い頃は、風邪気味で体調悪ければ、すぐに『粥』を作ってもらい、体の芯まで温まり、バスタオルを首にぐるぐる巻きにして、ぐっと我慢の子であった。しかし、このようなお

素麺は、大盛り三把でしょ!?・・・とても素麺を食べたくて注文したランチ。

 先ほどの「秋刀魚は、三匹でしょ!?」に続く、ワガママランチ「素麺は、大盛り三束でしょ!?」。  脇宮盛久料理長(熊本ホテルキャッスル)も、いい加減に迷惑だと怒るかも知れないが、とても素麺が食べたくてオーダーした大盛り素麺だった。  完全炭水化物ランチとなったが、薬味とつゆ、そして素麺の喉越しで決まる。これは、これはとツルツル入る素麺だったが、「また、宜しく願います!」と小声で伝えておいた。