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桃田賢斗は今年も日本A代表で異論なし。その本当の理由とは?

不祥事続出で財政危機…桃田賢斗をいまだ「客寄せパンダ」にするバドミントン協会の前途多難

【バドミントン】桃田賢斗に協会内から期待の声「彼の存在は非常に大きい」

2024年のバドミントン日本代表が発表された。そのことを受け、桃田賢斗のA代表入りに焦点を当てた、いかにもゴシップメディア的な視座の低い、的外れなニュースがいくつか発信されている。

まず最初に私の見解を述べると、今回の選考結果に違和感は全くない。加えていうと少なくとも近年は毎年違和感ゼロである。

そのポイントは「人材登用とは何か」の本質にある。上記のニュースは記者がその本質を知らないか、それとも記者はわかってはいるけど一般大衆は分からないだろうとバカにした上で読者を手のひらで転がそうとしているか。そのどちらかなのだ。

企業経営を例に紹介しよう。新入社員を採用する時、あるいは管理職を登用する時、さらには役員を任命する時。いずれの場合も次の3つの要素で決定される。
1.これまでの実績
2.将来の期待値(本人のモチベーションも含む)
3.最高責任者との相性(責任者特有の戦略にマッチする人材であるか)

ここを多くの人たちは誤解している。1番だけで決めるのが公平公正な人事だと思っているのだ。それは完全に間違いである。1番で決めるのが正と思っていた人は人事権を伴う形で組織の責任者を経験したことのない人だと思われる。「記者」と呼ばれる人たちはほとんどそれに該当するだろう。

確かに誰から見てもわかりやすいのは1番、あるいは1番に重きを置いて決めることだ。しかしそんなことをしたら組織やチームは間違いなく弱体化する。想像すればわかることだ。過去に頑張ったご褒美だけでおいしい立場を与えたらどうなるか。全力で頑張らない人が一定数出現してしまうのだ。「既得権益」という言葉はしばしば悪い意味で使われるが、まさにそれと同じだ。

バドミントンの日本代表選考において、全日本総合選手権の結果をもとに基準を設けていることには一つの歴史的な背景がある。かつては日本代表監督を特定の実業団の監督経験者が務めている時代があった。そうなるとどうしてもその実業団の選手にチャンスが偏りがちになるという懸念、疑念が発生する。選考基準の確立はその疑念を回避し納得性を高めるために講じられた措置だったのだ。

ところがここ10年以上、日本代表の監督は韓国代表出身の朴氏が担い、高いレベルでの結果も出している。私はこの状況下において選考基準など不要と考える。朴監督の意向をベースに周辺のコーチングスタッフと強化本部で日本代表の全選手を決定すればよい。それが本当の「人事」なのだ。

そもそも人事なんてものは関係者の密室でやるべきもので、公開すべき性質のものではない。村井会長の言葉を借りればここは「天日にさらす」べき領域ではない。だからその結果は傍から見るとどうしても決定者の独断と偏見に見えてしまう。だがそれが当たり前なのだ。その決定プロセスこそが最も正しい人事のあり方である。決して間違いではないのだ。

しかしその場合一つの反論があるだろう。権力者の私欲がはびこる不健全な独裁の横行に対する懸念だ。そこを防ぐために協会ではTOPの任期と改選がある。そして会社を含む日本のほとんどの組織には不健全な独裁を抑止する機能は存在している。ここは国によって異なるかもしれない。確かに不健全な独裁が政治レベルで横行してしまっている国はある。だが、今の日本はその点において平和で成熟している国家なのだ。

ただ危険なことは一つある。権力者が間違いをしてもそれにとって代わろうという人材が準備されていない(育っていない)状況にある場合だ。これまでの日本バドミントン協会は間違いなくそこに問題があった。TOPを担える人材が育っていなかったのだ。新しい会長を外部人材に求めるしかなかったのはその決定的な証拠である。

さて、今回の男子シングルス勢。A代表候補として選考のテーブルに乗ったのは奈良岡、西本、常山、渡邊、桃田の5名という認識で間違いないだろう。しかし採用枠は4名だ。まず言えることはどの人が監督をやっても奈良岡は選ばれるであろう。これはさすがに間違いない。

しかし後の4人からどの3人を選ぶか。その答えは違う人が監督(または編成責任者)なら答えは変わることもある、としか言いようがないのだ。そこに絶対の正解はなく、ましては誰もが納得する基準など作りようがない。

バドミントン界で実績のある指導者100人に「もしあなたにA代表選考の人事権があったらこの4人のうちどの3人を選ぶか?」を聞いてみたら答えは間違いなくバラけるであろう。

今回、惜しくもA代表から漏れてしまった渡邉航貴は昨年素晴らしい活躍をした。今年の期待値も大きい。A代表にできないのはもったいないと思う。だからできることなら男子シングルスの枠を5人にしてほしかった。

そこは柔軟にできないのだろうか。上位大会に優勝を狙える選手を5人も送り込めるという事は国際競争上という視点において考えると大変恵まれた状況だ。今、男子シングルスでそんな国は日本と中国しかないだろう。

渡邊航貴はまだ若い。ぜひ奮起してほしい。とにかく出場する大会で実績を積み、問答無用で万人が認めるA代表の座をつかむのだ。それは一昨年から奈良岡功大が成し遂げて見せたストーリーと同じだ。国内ランク2位以下に甘んじつつ、選ばれなかった不運を嘆くような気持ちが1ミリでもあったら終わり。

ギリギリのラインでA代表に滑り込み、ギリギリのラインでオリンピック出場枠を勝ち取り、メダルも獲れずに終わる選手をファンは求めていない。近年の国際大会での好成績で日本のバドミントンファンの舌は肥えたのだ。そこは代表選手とそれを狙う選手全員に強く自覚してほしい。


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