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バドミントンがメジャー競技になり切れない理由(2)オリンピックファースト

「その競技はしないけど観戦はする人」が多いスポーツはスポンサーがつきやすくお金が回る。そしてTOPクラスの選手は経済的な成功を手にする。アメリカで言えば野球、アメフト、バスケ、アイスホッケー、ゴルフ、テニス。日本では野球、サッカー、相撲などがそれにあたる。

これらの競技には共通していることがある。それはTOP選手にとってオリンピックは重要ではない(むしろいらないくらい)という事である。

昭和の時代のバドミントンはオリンピック競技ですらなく、国際大会でも勝てず、世間の注目度は皆無に等しく、民放地上波でのテレビ中継などもほとんどなかった。

そのような「暗黒期」をまずは抜け出したい。そこでせめて世間からの注目を受けるために目指した手段はオリンピックという舞台に立つことだった。

晴れてバドミントン競技は1992年(平成4年)のバルセロナ大会からオリンピックの公式競技となった。

しかし、当初の日本代表選手はメダルには遠く及ばなかった。この頃の関係者や競技者、そしてファンはこう考えていたのではないだろうか。「いつか日本選手から金メダリストが誕生すればバドミントンのメジャー化への道は開ける」と。

その後、日本の選手たちは順調に進化を続けた。2008年の北京大会でスエマエペアがベスト4入り、翌2012年のロンドン大会でフジカキペアが銀。そしてついに2016年のリオ大会ではタカマツペアが金メダルを獲得(いずれも種目は女子ダブルス)。

この間、確かにマスメディアの露出は増加した。しかし多くの関係者やファンはこうも思ったのではないだろうか。「あれ?金メダルを獲っても盛り上がりってこの程度?」

これで日本のバドミントン界は一つ学習をしたと思う。これほどの努力をしてオリンピックで成績を残してもそのことは選手の経済的な成功にはつながらないということを。

引退後に指導者や評論家で食える、くらいの材料にはなるくらいにしかならないのだ。今では年に二けた億円もの大金を手にするようになった野球とはずいぶんと差がついてしまった。

もう一つ残念なことがある。毎回オリンピックを境にまだまだできそうなスター選手が第一線を引いていくのだ。これもメジャー競技には見られない現象である。

メジャー化への道ありきでバドミントン競技を考えるなら、いっそのことオリンピックファーストというステージを卒業したらどうだろうか。サッカーのようにオリンピック出場に年齢制限をかけるのもいいだろう。これは日本に限らず世界バドミントン界への提案である。


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