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駆け引きってめんどくさい

ずっと処分に困ってたネックレスのチェーンがあってね。

K18の刻印があるので、買い取り店でそこそこお値段がつくのは判ってたけど、場所をとるものでもないし、まぁそのうちにとずるずる持ってたもので、なんかちょっと前に金相場がなんちゃらって騒いでたときは忙しい時期が重なってすっかり忘れていた。

それも一段落ついて、
そのうち母が遺した、いいお値段しそうだけど誰も使わなそうなもろもろのものも処分しなきゃいけないだろうし、
そういうときに、気軽に相談できる信頼できそうなお店があるといいな、ってちょっと思い始めた。

義実家の整理ででてきた正体不明の冠婚葬祭用パール風ネックレスとか多分安物の腕時計とかもいい加減処分したいし、余ってるテレホンカードもあるし、ちょっとその界隈の様子を見て今後の参考にしようかな、と、時間があるときに持ち込んでみました。

最初は、近所の買い取り店。
テレホンカードの買い取り金額最低額保証ということで、じゃあついでに様子を見てくるかな、って感じで行ってみたら、とても雰囲気が良かった。

今日は売らないけど、こういうものもあるんですよねと、ネックレスを見せたら、
刻印を確認して、ああ今の相場でこれくらいだからこれくらいですね的なものをざっくり言ってくれて、でも是非売ってくださいとか食い下がらない。
少し雑談なんかもして、ああいうものはいくらいくら、こういうのはこうで地金として売った方がいいかもですよ、なんて雑談もして、
ああ、敷居が高いなって思ってたけど、そうでもないんだな、ってちょっと気分が和らいだ。このときはネックレスは結局持ち帰ったんですよ。

で、また時間に余裕ができて、
じゃあ今日は、買取額アップキャンペーンとか唄ってるこっちのお店に行ってみようかな、と、わりと有名なO店に、今度は、やっぱり正体の判らない刻印なしのアクセサリーなんかも一緒に、くだんのネックレスも持っていった。

案の定、正体のわからないものは特に値打ちものなどではなく、じゃあせっかく来たのだから、ネックレスみてもらおうかと出したら、
おもむろに話し始めたのは、
「過去に、刻印の偽造があり金相場が崩壊しかけたことがあった、なので正規の刻印がないものに関してはなんとかかんとか」的なことを先に言いだし、
初っぱなで電卓はじいたら4桁だよ、それも下の方。
3グラムあるK18刻印のネックレス、4桁?
先のお店では、そんなこと言われなかったし?

この時点ではぁ? と思った。もろに顔に出ただろうと思う。
そしたら、比重確認しますと裏に引っ込み、なにやらどこかに電話している。比重確認してるところは当然見られません。

で、戻ってきて、今計量中です的な話と一緒に、
今の金相場はこれこれこうですが、加工して買い取り店に行くまでの間の相場の変化が云々、18金は25%がパラジウムなどの別の金属で、うちはそれを抽出し金塊として売るのでその手間賃が云々とか言いだし、次にはじいたのは、
4桁の中くらいの金額。

馬鹿にしてんの?
てかお宅の社内の事情は知らんがな。

もうこの時点で帰る気一杯になり、
もういいよ、帰るよって言ってるのに、
ちょっと待ってください、今本社に掛け合って、わたしの裁量で云々。とまた裏に引っ込み、
時間をかけて提示されたのが、やっとやっとの、まともな買い取り金額だった。

なんかなぁ。
通販番組の逆パターンじゃないけど
「アクセサリーとしてはこのお値段、ほんとに金ならうちの事情もあってこのお値段、比重はかったら刻印通りの金だってはっきり判ったし、社内事情もあるけど僕も頑張ってここまで勉強させてもらいます!」
みたいな?

だってさ、その金額、最初のお店の人が見て即、出してるのよ。

ていうかさ、お金に困っててとかじゃなく、お店の様子を見に来てるのよ、こっちは。
信用できそうなら少しずつほかのものも相談、みたいに思ってる訳じゃん?
まともな相場をすぐ提示できない時点で、どうなの? 値段の根拠が、社内の事情がって、どうなの?

君は「ようやくここまで来ました、ゴール間近です!」って思ってるのかもしんないけど、
わたしにとっては長く待たされてやっとスタートライン手前まで来たようなもんで、
てかもう、待たされてる間に「走る気はない、わたし帰るわ」ってなっちゃった。

こんなに待たされると思わなかった、最初からその金額がすぐ出れば考えた、という話をし、
もういいわ、今日は帰ります、といってるのに、
「お客さんのイメージしてる金額っていくらくらいでしたか?」的に引き延ばそうとする。
いやもう、いいから。帰るって言ってんだから帰してくれよ。


では、返すに当たっての手続きをって、また電話をはじめ、
コールセンターだかどっかか知らんけど、「お客様のお手元に商品は帰りましたか?」という確認の会話の後、やっと解放されました。

疲れたわ。
相場とか刻印の意味とか諸々下調べしてきてこういう目に遭うと、ほんと疲れるわ。

てかさ、出張買い取りとかで、あれを家の先でやられ始めたら。
最初はこうで確認してこれこれこうで、じゃあ頑張ってここまでにしますとか自信一杯の顔で、なんの驚きもない相場の金額提示されたら、
普通の人は耐えられずに売るだろうなぁ。
貴金属処分したいっていうのは高齢の方が多いだろうし、あんなの軒先で延々やられたら、それでいいから早く帰ってくれってなるよ。

ぐったりした気分で店を出て、少しドラッグストアとかうろうろしてクールダウンしたあとで、最初行った近所の買い取り店に行ったよ。

O社が30分かけて出した金額、即答だったよ。
義実家からでてきた謎のものを全部見せたら、まとめていくらになりますけどこれくらいって言う感じだったけど、そっちはもういいからそれでお願いしますとお返事し、

ついでにO社でのことを話したら、
「ええ? その金額はあり得ないですよ」
「そんなこと言うんですか、業界の闇ってやつですよねぇ……」
と愚痴まで聞いてくれたので、もうここでいいやと。ネックレスも買い取ってもらうことにしました。
「そんな大変な目に遭ったんですね」なんて感じで粗品も多めにもらって、ちょっと気分が晴れました

ていうか、価値あるものもそうでないものも、自分の勘はある程度信用できるのが判って、それはそれで勉強なったよ。

しかし、CM大々的に打ってる大手は、やっぱりそれなりなんだなぁと。
家までただで来てくれて高額買い取りとか、うまい話はそうそうないんだよ。

今回、大手とそうでないところの雰囲気的なものがわかって良かったけど、
貴金属ってものすごく場所をとるわけじゃないし、相続とかでどうしても換金が必要とかじゃなきゃ、嫌な思いして処分しなくてもいいんじゃないかって、思ってしまった。

値段がつかなかったけどかわいいアクセサリーとかブローチとかは、ちょっとした額にでも飾って妹にあげようかなって思った。
そういう楽しみ方するために、あるんだよね、アクセサリーて。

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