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小さなイベントと手作りくじ

最近は、流行り病のせいで忘年会もない。
まぁ、俺は酒が飲めないので、なくても全く困らないのだが、
課長はやりたいらしく、残念がっていた。

「忘年会はできないから、ケーキやプレゼントを買って課員に配りたい」

などと言い出した。

「お金は出します! 係長以上が」

と、さりげなく負担を要求されたが、大した金額でもないし、
飲み会の不毛な時間と費用に比べれば、どうということはない。

そんなわけで、プチクリスマスイベントが開催される運びとなった。

クリスマス前の平日の昼休みに課長がケーキを買いに行き、
みんなで食べる。そしてくじ引きで種類の違うお菓子などが当たる。
まぁ、職場の休憩中に行われるイベントとしては、十分ではなかろうか。

プレゼントをただ配るだけではつまらないということで、
くじを作って、くじ引きで当たったプレゼントがもらえる仕組みに
することにした。

簡単なものでいいという話だったが、
紐を引っ張ったらプレゼントに繋がっている駄菓子屋方式が良いとか、
好きなことを言っていた。

まぁ、何でもいいけど、作るのは俺なんだろうな。

「くじはお願いね!」

予想通り、くじ作りは俺に一任された。

休みの日に東急ハンズで抽選箱と、タコ糸、メモが書ける札を買った。
人数×2倍のメモを用意し、1枚はタコ糸に貼り、もう1枚はプレゼントに
貼り付ける。

メモは紐とプレゼントで対にして、同じ文言を書く。
単語が一致するプレゼントが当たる単純なものだ。

タコ糸の束をやたらと派手な抽選箱に放り込み、メモが付いていない方を外に出す。

これでくじの完成だ。

メモに「1等」「2等」とか書けばより簡単だが、
それでは最後に引く人が何が当たるかわかってしまって盛り下がるだろう。

そう思って、メモには何かわからない単語を書いて、
引いただけでは何が当たったかわからないようにした。
全員がくじを引き終わった後で、商品の当選発表をすることにした。

これなら、みんな最後までドキドキが楽しめるはずだ。
賞品は、種類が違うだけのお菓子だ。
そんなもので、鼓動が高まるか知らんが、
それでも盛り上がる…。

と思いたい。

メモには「いろはにほへと…」とでも書こうかと思ったが、
どうにも、古風過ぎる。

くじは20本作るから、そうだな…机に貼ってあった歳出科目名にしよう。
これなら20種類以上あるしな。
「需用費」とか「役務費」とかメモに書いていった。

くじを引いたら「需用費」って書いてあるメモが付いている。
全く意味がわからないだろう。
おっ、これは面白いんじゃないか?

逆に白けるかな…。
まぁいい、何にしてもタダでお菓子がもらえるんだから、
糖質中毒の女子たちは、くじが白けても糖質で盛り上がるはずだ。

そんなイベントが明日ある。
当然準備作業は無給だし、無駄に手間を掛けたが、
こういう準備をするのは悪いものじゃないな。

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