目が死んでるやつは、仕事も死んでいる。
今日は散髪の予約をしていた。
15時30分からだったが、13時からにしてほしいと連絡があった。
まぁ、早い分はいいか。と思い了承したけど、
今日は実家に帰って食料を母親に届けておきたい。
母親は自力で買い物もできるし、経済的に不自由はしていない。
しかし放っておくと菓子パンばっか食うからな…。
玉子とか豆とか食料を置いておけば、
そっちも食べるだろう。
そんなわけで、実家までは車で1時間弱。
往復2時間として、13時に美容院に行きたいわけで、
現在時刻は10時過ぎ。
買い物して、まぁギリギリか。
近所のスーパーに立ち寄り、玉子と納豆を買う。
レジは2つ動いており、両方ともお客さんがいる。
右のレジは、熟練の中年女性、並んでいる客の商品が多い。
左のレジは、目が死んでいる若い男性。客の商品は少ない。
これは…左が早いか。
とっさに左に並ぶ。
しかし、この若い兄ちゃん。まじで目が死んでいるな。
「レジ打ちのバイトかったり~」
って、全身から溢れている感じだ。
バーコードに通すのも遅い、おつりの受け渡しも遅い。
とはいえこちらのレジの方が早く終わり、俺の番になった。
『レジ袋、お願いします』
ボケてそうなので、比較的大きめの声で伝える。
かしこまりました的な声が聞こえたので、支払い用にスマホを取り出す。
ふと前の人が置いて行ったカゴを見ると、チーズが一つ残されていた。
あーあ、バーコード通した後、渡す用のカゴに入れ忘れたか、
そもそもバーコードに通し忘れたか…。
『…それ、残ってますよ』
気付いていないようなので、教える。
「あっ、すみません!」
しばらく狼狽えていたが、意を決したように若い店員がチーズを持って、袋詰め中のさっきのお客さんに渡していた。
…ふう。世話が焼けるねぇ。
これでやっと俺の精算もしてもらえる。
「…〇〇円です」
スマホ決済し、自分のカゴを見ると、袋がない。
『…あの、袋がないんですが』
「あっ!すみません!もう一度袋代いいですか?」
いいよ。いいよ。
何かもう驚かないよ。機械的にうなづきながら、再度スマホで5円の精算をした。
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