見出し画像

いばら姫にしたのは誰?

「いばら姫にしたんですね、自分を」
穏やかに微笑んで、サミュエルは言った。
オリーブグリーンの瞳は、こちらに柔らかい視線を送っている。ひざ下くらいまである長い銀の髪が、床につきそうになっている。このひとが、髪を解いているのは珍しいな、と私は思った。

白い、ゆったりとしたオリエンタルの神官風な恰好をした、中性的な(どちらかといえば男性の)容姿のこの人に会いに来るのは久しぶりだ。ほったらかしていた割には、きちんと落ち着いている。部屋内は前と変わった様子はあまりない。部屋の中から見える景色は、まるで海底遺跡のようだ。ここにくるのは、いつもなんだかちょっとめんどくさい。

「いばら姫?」
私が聞き返すと、サミュエルはうなづいて言った。
「まあ、実際のいばら姫の話とは違うのでしょうけれど。
でも、こどもらしくありたい、という願望を持ったあなたの一部を、ガラスの棺に入れて閉じ込め、茨をはやして人が来ないようにして、幼いあなたを門番にして置いて、「この茨を乗り越えるのは誰だって無理、できるわけがない」と吹聴しておきながら、それでもなお、それを超えてきてくれる王子様を待っていた、というところですかね」

「…けっこう辛辣なことを言うね」
と私がつぶやくと
「でも、わからなくはないでしょう?」
「まあ、ね」と苦笑して返す。

そう、私は待っていたのだ。
困難をものともせずに私のもとに来て、呪いを解いて私を目覚めさせ、小さい私を抱きしめ、頭をなでてなぐさめ、話を聞いて、甘いお菓子とおいしい飲み物を与え、髪の毛をかわいく結い上げ、ひらひらしたドレスをまとわせてくれる、そんな王子様を。

「いるわけないのにねぇ、現実には」
「そうですね…それを背負わされる恋人はたまったものじゃないでしょうね」
「反省します(笑)」
「で、その呪いはどうします?そのままにしておきますか?」
「いつか王子様が助けに来てくれるはずだから、自分では動きません、って呪い?解くに決まっているでしょ。持っていてどうするのよ」
「いや、持っておきたい人もいるでしょうから」
「いるのかな」
「いるでしょうね」
「いや、私はもういらないし」
「では、ちょっとがんばりましょうか。ちょっと重たいですけどね」
サミュエルはそういって、準備を始めた。

~続く~はず(笑)

この物語の中に出てくる「サミュエル」は、私のインナーセルフだ。ちなみに、けっこうな美人さん(私は男女ともにこの表現を使うのだけれど)なので、はじめにビジョン化したときはちょっと疑った。(まあ、最初にあった時は腐ってどろどろのものをまとった姿で出てきたので、外見どころではなかった。なにがあった、昔の私)まあ、でも今はわりと気にしていないのだけれど(インナーなので、私の外見とは無関係だと思っている)。
インナーセルフ、というのは、「その人の望みや体験をすべて知っている、内なる自己=もう一人の自分」のことだ。私は、だいぶ前に「インナーチャイルドのワーク」について、ヒプノセラピーの体験記を書いているけど、その「インナーチャイルド」とは違う。

スピリチュアル業界では、インナーチャイルドだの、ハイヤーセルフなどいろいろ出てくるので、ごっちゃになりやすい。

余談の余談だが、「インナーセルフに会いに行くワーク」で(2014年、東京のMannaさんから私はこれを受けた)、名前を聞いたときには、「なんて天使っぽい名前なんだろう」と思ったのだけれど、まさかちゃんと伝承にあるとは思わなかった。しかもオーラソーマのボトルにもいた(もちろん、私は知らなかった)。ボトルはこんな感じ。結構不吉な天使なのだ。

まあ、とりあえず、本文とは関係ないところでたくさん話すのも何なので、うまくまとめられるように頑張ろうと思う。よかったら続けて読んでみてほしい。


記事を気に入っていただけたら、サポートをお願いします。書き続ける励みになります。いただいたサポートは、次を書き続けるためのエネルギー補給(主に甘い物)に使いたいと思います(笑)