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第68回 角川俳句賞を読む

まずは受賞作、西生ゆかりさんの「胡瓜サンド」より感銘句を。

等身大パネルのやうな新社員  西生ゆかり
レタスの芯抜くや一旦押し込んで  同
パイプ椅子引くや花茣蓙やや歪む  同
名を忘れ香水の名を忘れざる  同
鉄板に餃子の皮やクリスマス  同

類想だと思える句が50句のなかにほぼないのがすごいです。
類想から離れようとすると独善的な世界に陥ってしまいがちですが、そのようなことはまったくなくて句の意味がはっきりと分かるのが見事だと思いました。
あと、西生さんの受賞のことば「私の俳句」がとてもよくて、繰り返し読んでいます。

ほかの候補作より好きだったものを挙げます。

春禽を呼ぶ思ひつく限りの名  馬場公江
つむりゐる間もめまひ草の絮  藤井あかり
日おもてに魚じつとゐる落葉かな  板倉ケンタ
神様の名に命の字山笑ふ  岩上明美
白菜は鶏の大きさひたむしる  南幸佑
窓に吊る蛍光ベスト花粉症  川原風人
ジョギングの帰りは歩き冬菫  西山ゆりこ
張りつきし凧を妹より剥がす  黒岩徳将
お守りの小さきふくらみ浮寝鳥  山口遼也
話すとき歩む先生春の水  小野あらた
重たくて温かき皿夜食取る  小野あらた

わたしの作品「馬鹿に」も幸運なことに予選通過、仁平勝さんと小澤實さんに◯をつけていただき、50句誌面に掲載されました。
すごい方々といっしょに誌面に載ったことがとても嬉しかったです。
(小野あらたさんは特にファンです……!)



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