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関谷恭子句集 『落人』

関谷恭子さんの第一句集です。

恭子さんは2010年に「濃美」に入会。2018年に「蒼海」にも入会、創刊号から19号まで参加後退会されています。あとがきによると、武者修行のように4年余りを「蒼海」で過ごしたとのことです。(蒼海14号のリレーエッセイ「淡海吟行のこと」を思わず読み直しました。)

蒼海でご一緒していたとき、句会で恭子さんの句を採ることが多く、また恭子さんに句を採っていただけたらお墨付きをいただいたような気持ちになって嬉しかったです。

恭子さんの祖先は平家の落武者とのこと(すごい!)。「落人」の血が流れている恭子さんの句は、清廉でありながら生命力があります。

とくに好きな12句。

フェルトに沈む文鎮花の冷
秋の虹舐むれば治るほどの傷
陰膳を温めなほす鳥曇
笹百合や落人を祖と唄ひつぎ
着ぐるみの口から巷見る師走
冬菫足場組むこゑ降つてくる
母に手を引かれて遅刻寒すみれ
柵の外に繋ぐ一頭はだれ雪
ががんぼの沈みがちなるひとつがひ
梅花藻の花なきところ水を汲む
啼く鳥も鬼も吾も容れ霧襖
貸しくるる手袋犬の匂ひして



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