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片山由美子句集 『香雨』
片山由美子さんの第5句集。平成16年から24年までの作品から360句を掲載。あとがきに「すぐれた風景画は、実際の風景以上の感動を与える。俳句もそれが理想である。」とある。
歳時記に載っているような素晴らしい句がたくさんある。俳句を作る上で、とても参考になる句集だと思った。
句をたくさん引きたかった。以下、厳選15句。
子猫抱く久しく人の子を抱かず
手花火や再従兄に会はぬ二十年
雲の峰悲しきときは力出て
影冴ゆる祈りに男女隔てられ
涼むとも見えず男ら屯して
蟻走る砂にまぎれぬため走る
点心に一滴の朱やあたたかし
夕餉まで少し間のあり額の花
籐椅子の窪みのどこか身にそはず
釣堀に時の澱みてゐたるなり
唐辛子色となりゆくたうがらし
青梅の濡れ放題にして濡れず
馴れといふこと病にも春落葉
春宵の上海は灯を惜しみなく
ここはもう花野といへぬ花の数
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