岸本葉子句集 『つちふる』
岸本葉子さんといえば、NHK俳句の名司会者です。
(武井壮さんもいいですが、岸本葉子さんのカムバックをひそかに望んでいます……!)
『つちふる』は岸本葉子さんの第一句集。
俳句の王道をまっすぐ歩むような堂々とした句集だなと思いました。
特に好きな句を挙げます。
白衣もて眼鏡拭へる遅日かな
二階へと客を通せる祭鱧
ジョッキーの尻の小ささや風光る
糠床の水気八十八夜なる
浮世絵の女受け口瓜の花
ひとつづつ沼の面に触るる雪
咲くものは膝の高さに秋の園
修司忌や十字に架くる本の紐
能面に両耳のなき白露かな
右ばかり倒るる癖のブーツかな
息を足し紙風船を軽くする
香水を選る吹抜けの十二階
西館の奥に旧館松落葉
石鹼玉歪みきつたるとき離れ
夜濯ぎのショーツ片手で絞りけり
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