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「松の花」誌を読む


俳句結社に所属しているひとでも、所属結社以外の結社誌を読む機会はあまり多くはないのではないでしょうか。

1ヶ月ほど前、わたし宛に「松の花」という俳句結社の結社誌が届きました。

他の結社誌を読むコーナーで、ありがたいことにわたしの句をとりあげていただきました。

それでわざわざ一冊送ってくださるなんて、なんて太っ腹なのでしょう。

せっかくなので、まったく予備知識のない状態で結社誌「松の花」を読んでみることにしました。


まず冒頭。

主宰の松尾隆信さんの句がバーンと29句載っています。

どの句も意味がとりやすく、平易な言葉で、それでいて目の付け所の確かさを感じられる俳句です。どことなく星野立子っぽい。(えらそうな言い方で申し訳ないですが)すきな系統です。

さっそくお礼状を書くことにしました。お礼状の最後に、松尾隆信さんの御句では

骨の身をこそげば甘しさくら鱒

が特に好きですと書きました。

そして最後に宛名を書いているときにふと気がつきました。

わたしの句を取り上げてくださったのは、松尾清隆さんだったのです。


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‥‥‥‥松尾隆信さんと松尾清隆さん。

とても似ていますが別人です。

主宰の松尾隆信さんがお父さま、松尾清隆さんが息子さんなのでしょう。(たぶん)

お礼状を出す前に気がついてよかったと思いました。


続いて会員の投稿欄を見てみます。

まず「松茸集」(特別作品集)と題して、5名の会員の作品が1人1ページ、12句ずつが掲載されています。タイトル、作者のお写真、ミニエッセイもついていて、まるで角川俳句のようなレイアウトです。これは掲載されたらテンションが上がりそうです。

続いて、竜紋集(同人自選8句)→松の毱集(同人自選7句)→翠嶺集(主宰選5句)→薫風集(主宰選3句)という流れで作品が掲載されています。

そして最後に松の花集として、同人の区分関係なく5句ずつ掲載されています。

なんだか複雑になってきたのでまとめます。

(あくまでわたしが推測した範囲です)

松の花のなかでは4段階の会員の区別があり、上から順番に①竜紋集同人、②松の毱集同人、③翠嶺集同人、④薫風集同人。

このうち①と②は作品掲載にあたっては自選で、①は8句、②は7句掲載されます。

一方③と④は掲載作品は主宰が選ぶようです。③は10句以内を投稿し5句掲載。④は5句以内を投稿し3句掲載です。

さらにこれとは別に「松の花集」というすべての会員が投稿できるコーナーがあります。

巻末の投稿規定の欄には、

松の花集に力点をおいて投句してください

と書かれていました。


ここまできて、「松の花の会員の方々は毎月めちゃくちゃ投句数が多いのでは」という疑問が頭をよぎりました。

そこでひとりの方に注目して句数を数えてみました。

岸桃魚さん。

松茸集の冒頭を飾っていらっしゃる方で、お写真を拝見するととても上品なご婦人でした。

まず松茸集で12句。次に竜紋集で8句。最後に松の花集で5句。

もちろん句はすべて異なります。

合計25句。

毎月これだけの句をコンスタントに載せているのはすごいことです。(松茸集の頻度はわかりませんが)

また会員のお住まいをみると、平塚市や周辺の神奈川県の市町村が多かったです。(発行所が平塚市になっているのでその関係でしょう)わたしが勝手に注目した岸さんは山形の方でした。オランダの方もいらっしゃいました。

蒼海では、会員の作品の掲載順は北からの都道府県順、さらに同じ都道府県では五十音順なのですが、松の花さんは真逆で、南から、逆五十音順になっていました。

結社誌によっていろいろルールが異なるのだなぁと思いました。松の花さんはきっと試行錯誤の末にこうした形態にたどり着いたのではないでしょうか。

最後に、松の花誌の要所要所にあらわれる、か細い虫のようなイラストが気になりました。


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これは一体……?

その答えは編集後記にありました。

今一月号から私が楽しみにして居るのが小学一年生の和希さんのカットです。ペン画のかがみ餅、うぐいす、つくしんぼ、ポニー、今月号は何かなと、毎月愉しみにページを開いています。(しげこ)

小学1年生にしては、絵がうまいと思いました。そして対象をしっかりと見つめて模写しようという意気込みが感じられます。それは俳句を志すものにとって、かけがいのない資質なのではないでしょうか。

和希さん、もしかしたら主宰のお孫さんでしょうか。

気になっています。


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