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吉田林檎句集 『スカラ座』

『スカラ座』は2019年刊行、吉田林檎さんの第一句集。

編年体で編まれていて、正直な心を詠んでいる句が多いので、林檎さんの人生を感じることができる一冊でした。

句集の核となっている子育ての句に加えて、都市生活をユーモラスに詠まれた句や、一物の写生句も魅力的でした。

とくに好きな15句。

とんぼうに追はれてゐるを子は知らず
北風や気をつけ休め声を出せ
やうやくに仕事が楽し梅の花
蝶々の遠くを目指すとき疾し
緑さす小さけれどもわが句会
とりあへず句帳に日付萩日和
鷹匠の歩めば鷹のすがりつき
我がつけし名前呼ばれて卒業す
子の眼鏡かければ眩暈春の昼
不意に口触れ合ふことの金魚にも
水着干し我が身見られてゐるごとし
牡蠣フライ頼むメニューを見る前に
成人の日のラジオよりさだまさし
男には務まらぬこと春ショール
まな板の裏まで濡らし西瓜切る


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