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阪西敦子句集 『金魚』

阪西敦子さんの待望の第一句集です。おばあさまが俳句をなさっていたことがきっかけで阪西さんも俳句を作り始めたとのこと。7歳で「ホトトギス」の「生徒・児童の部」に投句を開始されています。

そこから40年におよぶ句歴を丁寧にたどっていく句集『金魚』。とても分厚いですが、どの頁もきれいにひらいてパタンと閉じることがないのがすごくいいです。

金魚の挿画は似顔絵作家の阪西さんのお母さまによるもの。

好きな句を12句挙げます。

笑はれし大きな眼鏡ネルを着る
注がるる勢ひに乾し生ビール
秋雨にフランス人は傘ささず
育ちつつ苗木の市の続きけり
人々と神々の居て年忘
みづうみに浅瀬ありけり夏落葉
手の影となり桜餅香りけり
田楽の跡の皿掻く串の先
醤油辣油酢の向き揃ふ冬至かな
スクラムに射す視線とも冬日とも
ノーサイド枯野へ人を帰しけり
秋風や皿を打ちたる芋けんぴ

また、句集のさいごの「小赤」という章には、「ホトトギス」の「生徒・児童の部」に掲載された阪西さんの作品が載っていて好きでした。

今日もまた寝るまでかける扇風機
十センチあいだをあけてなす植える
七種がゆ受験の日まで効くように


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