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草間時彦句集 『池畔』

草間時彦(大正9年〜平成15年)の全8句集から作者自身の精選379句を1冊にまとめたもの。ふらんす堂の精選シリーズです。

こちらのあとがきの日付が平成15年5月1日で、草間時彦が亡くなったのが同じ年の5月26日。まさに最期にまとめた1冊なのだと思いました。

好きな句20選。

百貨店めぐる着ぶくれ一家族
蓮牛蒡嚙めばたやすくしぐるるよ
畳屋の肘が働く秋日和
夕ざくら墓地を買はねば死ねざるを
菊なます口中冷えて来たりけり
足もとはもうまつくらや秋の暮
三が日過ぎたる鯖の味噌煮かな

鮭色のシャツ着て春を惜しみけり
牡丹鍋よごれし湯気をあげにけり
山見えて滅法寒き厠窓
右かれひ左ひらめの余寒かな
年の豆嚙みつつアガサ・クリスティー
昼過ぎて旅を戻りし新茶かな

昼寝しに暑き二階に上りけり
少し派手いやこのくらゐ初浴衣
税金が返つてくるよ桃の花
どぜう屋に席を見付けし祭かな
老の春なにか食べたくうろうろす
ぼけかけし夫婦に茄子のこむらさき
露しぐれ芭蕉と同じ灸据ゑて

https://www.amazon.co.jp/池畔―草間時彦句集-ふらんす堂文庫-草間-時彦/dp/4894025574


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