セクトポクリットのコンゲツノハイク【2023年6月】 12句選
はくれんの白増す一点の錆に 滝口滋子(「いには」)
清明の大空仰ぐものわすれ 山尾玉藻(「火星」)
永き日や眉墨ひかず古ぼけて 山田美惠子(「火星」)
白魚の目に酢醤油の沁みてをり 恩田富太(「銀化」)
春霖や骨格だけのアーケード 松田六呉(「櫟」)
犬橇に振り落とされて橇を追ふ 信太蓬(「澤」)
雪達磨百の面相見せ溶くる 篠崎央子(「磁石」)
何人(なにびと)もあふぐほかなき桜かな 加藤静夫(「鷹俳句会」)
軽石の吐き出すあぶく日永し 上野犀行(「田」)
屹然と塔雑然と春の雲 梅田実代(「南風」)
剪定の軍手に貰ふ笹団子 今井聖(「街」)
煙草くさく香水くさく酒くさく 佐藤知春(「楽園」)
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