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波多野爽波俳句全集 その2

波多野爽波の第二句集『湯呑』は、昭和29年から54年までの作品300句が収められています。編年体で3部に分かれています。

特に好きな句を挙げていきます。

本あけしほどのまぶしさ花八つ手
紫陽花や家居の腕に腕時計
日盛や乗り降りなきにドア開く
竹葉降り仔犬も固き糞(まり)をする
星空となる菊人形直立し
蟹歩き亡き人宛にまだ来る文
岡持あけて丼一つ冬の蝶
鶏頭に手を置きて人諭すごとし
鶴凍てて花の如きを糞りにけり
墓参より戻りてそれぞれの部屋に
耳に来し虫ふり払ふ冬芒
玉砂利に根づく花あり秋の蛇
水仙のまはりの雪に熊手あと
箒木が箒木を押し傾けて
掛稲のすぐそこにある湯呑かな
茶の花のするすると雨流しをり
水洟やどこも真赤な実南天
焼藷をひそと食べをり嵐山
梅林の真中ほどと思ひつつ
玉葱を吊す必ず二三落ち
縁側の少し高めや水温む
夜濯の燈を消すここの紐引きて

第一句集よりもぶっとんだ句が多くなっていて、いまの自分は第一句集のほうが好きなのですが、数年後に読み返すとまた印象が変わってくるかと思います。

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