見出し画像

田中裕明全句集 その1

今更ですが、みんなが大好きな田中裕明の俳句をちゃんと読んでみることにしました。Kindleで『田中裕明全句集』を購入しました。(紙版はAmazonで3万円超え!だったので電子書籍で……。)

田中裕明全句集は、裕明の5つの句集をまとめたもの。第一句集の『山信』(私家版)は墨書コピーの限定10部だったと知って驚きました。

まず、すべての句集のあとがきに目を通し、裕明の文章は短くて平明でいいなぁと思いました。(第四句集の『先生から手紙』にはあとがきは無し。)特に遺句集となった第五句集の『夜の客人』のあとがきは、胸にぐっときました。

 大峯あきらさんにいただいた「いのちが生きることを肯定しているから、あなたはなにもしなくていいよ」という言葉に、入院中、どれだけ励まされたことか。いくら感謝しても足りません。
 また、本人以上に、つらい思いをした家族に感謝をささげます。

『夜の客人』あとがきより

まず第一句集『山信』から好きな句を挙げていきます。

今年竹指につめたし雲流る
水眼鏡とらず少年走り去る
口の中ねばつく烏瓜ひとつ
放たれし犬の速さの枯野かな
ひらかずに傘持ち帰る花あやめ
乳母車中に日傘や寺の前
水澄むや梯子の影が草の中
ラグビーの選手あつまる桜の木
大学も葵祭のきのふけふ
夏の旅みづうみ白くあらはれし
やはらかき宿の御飯や草干す夜

第二句集以降はまた追々。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?