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蒼海24号

蒼海24号は2024年6月刊行です。

招待作品は俳句が阪西敦子さん、短歌が寺井奈緒美さん、詩が大崎清夏さん。

耳掻きの耳の奥処の闇のどか  堀本裕樹
竹に竹触れつつしづか花疲れ  堀本裕樹

主宰作品「酔筆」

夏の夜の白線青信号が染む  阪西敦子

招待作品「飲むまで」

社会さん今の状況分かってる?君の方から適合しに来い  寺井奈緒美

招待作品「バニラ人間」

以下会員の句より、全部は拾いきれないけれど好きな句を挙げます。

放られしスケート靴の刃へ射す陽  早田駒斗
書置きのごとく木椅子に寒椿  杉本四十九士
倍速に選りしシーンや湯ざめして  武田遼太郎
花ミモザくすぐるまへに笑ひだす  柴田美玲
まやかしの世のよく伸ぶる雑煮餅  曲風彦

蒼海24号 巻頭

両の手であたたむるかに賀状読む  すずきなずな
冬の陽の井戸の深きに消えにけり  塚本櫻𩵋
鶯餅の粉を払ひて別れけり  窪田千滴
遠吠えのやうな風来る追儺かな  西木理永
今朝の冬つよき膜張る山羊の乳  福嶋すず菜
遠ざかる水尾のごとくに冬の蝶  鈴木トモオ
十二月八日日記の感嘆符  羽奈あかり
そうだねのねが風花にさらわれて  浅見忠仁
公園のこゑ凍るまで漫才師  河添美羽
去りぎはの外套オーロラのやうに  小谷由果
大仏の顔して寝る子冬立ちぬ  澁谷洋子
掃除から身体なじませ初仕事  臺貴志
門にまだ初雪残る参観日  千沢翠兎
マラソンは血流のごと寒林へ  つしまいくこ
父の魂ンいま甘柿と化してをり  福田健太
頭とも尻ともつかず亥の子餅  森沢悠子
寒卵世界はかくも割れやすく  加留かるか
手をつけばふはと傾く炬燵板  紺乃ひつじ
影を噛むエスカレーター寒の入り  土屋幸代
集合の前に探梅はじまりぬ  中島潤也
冬日きらきら立ち読みの最終話  濱ノ霞
生き急ぐやうに双六上がりけり  三橋五七
雛あられ母を笑はす話せむ  加藤ナオミ
鳥々の声つぶらなる囲炉裡かな  犬星星人
外套を脱ぎ始めれば牛丼来  嶋田奈緒
降りぎはに戻す背もたれ神の旅  杉澤さやか
文鎮は君の十指や筆始  中川裕規
狂ひたるピアノ包みし毛布かな  坂本厚子
雪の声クッキー型に裏表  後藤麻衣子
孫に負けじと数の子を鳴らしけり  森井三喜

蒼海24号

蒼海鼎談では、小谷由果さん、後藤麻衣子さん、杉澤さやかさんが子育てと俳句について語りました。リアルな内容なので、結社以外の方にもお読みいただけたら嬉しいです。(わたしが記事を担当しました。)



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