セクトポクリット【コンゲツノハイク】(2021年10月分)の好きな句
子育や冷素麺のぬめりをる 小山尚子(「秋草」)
子育や、の上五に驚きました。素麺のぬめりをとるような、地味だけれど大変なことの連続が子育てという気もします。
よそふとき栗乗せ直し栗ごはん 岡田由季(「炎環」)
栗ごはんへの愛情がシンプルに伝わってきてほっこりします。岡田由季さん、角川俳句賞受賞おめでとうございます。
夕焼や海に落ちゆく観覧車 関田独鈷(「香雨」)
海沿いの観覧車の夕景。海に落ちゆくというおおらかな把握がいいです。
我が影にまづ強く打つ水鉄砲 大久保 昇(「磁石」)
夏の暑い日の濃い影が見えてきます。水鉄砲でハードボイルドというギャップがいいです。
妻の墓洗ひながらの恨み言 鎌田史郎(「鷹俳句会」)
明るい恨み言なのだろうと思いました。悲しくなりすぎないところがいいです。
一匹の蝿追ひ回す梅雨の家 鎌田義正(「たかんな」)
漫画的な家のカットが思い浮かびました。忌々しさのなかにもユーモアがあります。
弁当に小さき饅頭法然忌 井上圭子(「田」)
法要のときにいただいたお弁当なのかなと思いました。お弁当にちょっとしたお饅頭が入っていたときの心の華やぎを感じます。
巴里祭や美輪明宏のビブラート 石井野里子(「童子」)
美輪明宏のビブラートの措辞のパワーがすごいです。華やかな季語も美輪さんにぴったり。
ネクタイの光沢選りぬ夏の雨 森あおい(「南風」)
ネクタイの光沢に目をつけて、さらにそれを「選る」と言ったところがすばらしいと思いました。夏の雨のきらきらとした光も背景として美しいです。
海水パンツ脱がせ砂とる母の手よ 松野苑子(「街」)
ぴちぴちの海水パンツを脱ぐときのキュッキュッという音を感じました。母の手で締めくくっている、王道の郷愁にぐっときました。
こちらのサイトより引用させていただきました↓