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安里琉太句集 『式日』

安里琉太さんの句集『式日』は、格調高さとユーモアの混じり合った、とてもおもしろい句集でした。

わたしには簡単に理解できない句も多く、何度も何度も読んで楽しめるスルメのような句集です。わたしは、わかりやすい俳諧味がある句が好きだったのですが、数年後に読み返すと心惹かれる句が違ってくるのかなと思いました。折をみて読み返したい句集です。

栞には、岸本尚毅さん、鴇田智哉さん、鳥居真里子さんのお三方の解説。(豪華です!)

とくに好きだった句を。

うつすらと濡れて粽の笹の嵩

糸瓜棚暑くなる日の雲の形

花瓶よりおほきな蟻のでてきたる

日本の元気なころの水着かな

ゆかりなき秋の神輿とすこし行く

草笛のいつより濡れてゐし指か

流れつくものに海市の組み上がる

臭水に風吹いてゐる椿かな

老鶯や斜めに弱る竹箒

坂がちの夜店やひよこひとならび

摘草やいづれも濡れて陸の貝

風すさぶ昼の線香花火かな

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