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酒徒の履歴書 - 酒徒ができるまで

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メンバーシップで公開した「酒徒の履歴書」のまとめです。仕事は食とは無縁のサラリーマンが、なぜ中華料理を語ったりレシピを書いたりしているのかが分かります(笑)
長めの短編小説くらい(37,000字)です。本格中華、居酒屋行脚、十年の中国生活など盛りだくさん!
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#中国料理

酒徒の履歴書①~⑯まとめ読み

全16回の連載を1つの記事にまとめました。ずらーっと最後まで読めます。 改めて僕はこういう人間です…という自己紹介を兼ねて、自分の食遍歴を書いてみます。本業は食とは無関係のサラリーマンが、なんで中華料理の本を出したりするようになったのかが分かります(笑) 黎明篇(出生~高校生)憧憬の脆皮乳猪(豚の丸焼き) 僕は、1970年代後半に埼玉中部の小さな街で生まれた。高度成長期に地方から上京した人々の受け皿となった新興ベッドタウンで、街にはこれといった特産物や名物がなかった。僕

酒徒の履歴書④仰天の涮羊肉(羊肉しゃぶしゃぶ)

大三になってようやく北京へ留学した僕。念願の「毎日中華料理を食べる生活」を送ります。 野望篇3(大学生) 大三の夏は、短期留学と中国語系サークルの旅行を合わせて、二ヵ月ほど北京で過ごした。待ちに待った毎日中華料理を食べる生活である。旅の時とは違って、同じ場所に住んで気になる店を片端から試していくことに楽しさがあった。 中華料理において「数は力」であり、たくさんの料理を食べるには、胃袋の数を確保せねばならない。僕はクラスメイトを積極的に食事に誘った。本来それほど社交的なタ

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酒徒の履歴書⑤檻中の果子狸(ハクビシン)

大学卒業を控えた僕は、「食在広州(食は広州にあり)」の広州へひとりで飛び、当時はまだ盛んだった野味(ジビエ)文化に触れて、興奮します。 野望篇4(大学生) 大学卒業前の冬休みに、僕はひとりで中国へ飛んだ。一人が苦にならないタイプなのに、大四で初の海外一人旅。そうなったのは、「食」が理由だ。中国での食べ歩きは一人じゃ難しいので、気が進まなかったのである。その一方で、このとき一人旅に踏み切ったのも、やはり「食」が理由だった。

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酒徒の履歴書⑥ - 山東・白酒デスロード

今回から社会人篇です。なんとなく就職活動を始めて、なんとなく社会人になった僕。新入社員時代は中国とは縁が薄い仕事をする一方、香港や台湾に弾丸旅行したり、棚ぼた出張で白酒と仲良くなったりしていきます。 雌伏篇1(二十代前半) 僕が就職活動をしたのは、1990年代末のいわゆる就職氷河期だった。史学科の同級生は大学院へ進む者も多かったが、僕は、自分が中国史の研究で喰っていけるイメージを持てなかった。それに、もし研究の道に進んでも、その先に中国で暮らす生活は待っていなさそうな気が

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酒徒の履歴書⑨ - 念願の北京!目指せ、2年で4000皿!

社会人7年目にして北京での語学留学へ旅立った僕。この機会を最大限活かそうと、学生時代に願った通り、毎日中華三昧の生活を送ります。新しい料理に出会うのが楽しくて仕方ない日々でした。 飛翔篇1(二十代後半) 2006年2月。北京北部の某大学で語学留学を始めた僕は、志に燃えていた。これから2年間、北京と上海で1年ずつ、仕事を離れて中国にどっぷり浸れるのだ。人生、こんなチャンスはなかなかない。当時の僕は、ブログにこう書き残している。

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酒徒の履歴書⑩ - 意外な天啓!駐京辨から中国各地の農村へ!

二年間、北京と上海で中華三昧の日々を送った僕。その間に、中華料理への理解や情熱が一気に深まった出来事や出会いがありました。 飛翔篇2(二十代後半) 2006年4月。北京留学を始めて2か月が経ったころ、僕と連れは共通の友人と食事をした。その友人は北京在住で、僕らの食へ掛ける情熱を知って言ったのだった。 「そういえば、北京には各省の駐京辨(北京駐在事務所)があって、その省の料理を出すレストランが併設されてるんだって。各省出身のお偉いさんが出る宴席もやるから、現地と同水準の料

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酒徒の履歴書⑪ - 上海の洗礼!驚愕のお昼ご飯!

2007年。上海で1年間の実務研修が始まります。北京とは大きく異なる食環境。しかし、その違いこそが新たな発見を呼びます。そして、ここでも重要な出会いがありました。 飛翔篇3(二十代後半) 2007年初頭。北京での語学留学を終えた僕は、一年間の実務研修のため上海へ引っ越した。中国の首都から中国最大の経済都市へ。北京での生活は名残惜しかったが、新たな土地への期待も大きかった。 これまで実家→独身寮→留学生宿舎と暮らしてきた僕は、自分の住まいを主動的に決めるのはこのときが初め

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酒徒の履歴書⑫ - 食在広州!飲茶と広東料理に浸る日々!

2007年。念願の中国駐在生活が広州で始まります。「食在広州」の言葉で世界に名を馳せる広東料理の総本山で、広東料理と飲茶にどっぷり浸ります。引っ越してすぐに確保したのは、思い立ったらすぐ飲茶できる環境でした。 怒涛篇1(三十代前半) 2007年秋。2年で終わるはずだった中国生活がまだまだ続くことになり、望外の幸運に恵まれた僕は、希望に燃えていた。この機に僕と連れは結婚し、新天地の広州で新婚生活を始めた。とはいっても、僕らの生活はこれまでと大差なく、基軸はやはり食だった。

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