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酒徒の履歴書 - 酒徒ができるまで

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メンバーシップで公開した「酒徒の履歴書」のまとめです。仕事は食とは無縁のサラリーマンが、なぜ中華料理を語ったりレシピを書いたりしているのかが分かります(笑)
長めの短編小説くらい(37,000字)です。本格中華、居酒屋行脚、十年の中国生活など盛りだくさん!
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2022年9月の記事一覧

酒徒の履歴書⑤檻中の果子狸(ハクビシン)

大学卒業を控えた僕は、「食在広州(食は広州にあり)」の広州へひとりで飛び、当時はまだ盛んだった野味(ジビエ)文化に触れて、興奮します。 野望篇4(大学生) 大学卒業前の冬休みに、僕はひとりで中国へ飛んだ。一人が苦にならないタイプなのに、大四で初の海外一人旅。そうなったのは、「食」が理由だ。中国での食べ歩きは一人じゃ難しいので、気が進まなかったのである。その一方で、このとき一人旅に踏み切ったのも、やはり「食」が理由だった。

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酒徒の履歴書⑥ - 山東・白酒デスロード

今回から社会人篇です。なんとなく就職活動を始めて、なんとなく社会人になった僕。新入社員時代は中国とは縁が薄い仕事をする一方、香港や台湾に弾丸旅行したり、棚ぼた出張で白酒と仲良くなったりしていきます。 雌伏篇1(二十代前半) 僕が就職活動をしたのは、1990年代末のいわゆる就職氷河期だった。史学科の同級生は大学院へ進む者も多かったが、僕は、自分が中国史の研究で喰っていけるイメージを持てなかった。それに、もし研究の道に進んでも、その先に中国で暮らす生活は待っていなさそうな気が

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酒徒の履歴書⑦ - ニッポン居酒屋放浪記

社会人になり、自分の給料で好きなものを食べられる環境になった僕は、一気に食べ歩きにのめり込みます。そして、運命の出会いを果たします。 雌伏篇2(二十代前半) 話は、前回から少しさかのぼって、2000年代初頭、社会人になりたての頃。会社の独身寮に入ってから、僕の食生活は激変した。 寮は、21世紀の日本とは思えぬあつらえだった。部屋には風呂もトイレもなく、刑務所にあるような小さな洗面台があるだけで、備え付けの家具はベニヤ製だった。後年中国に語学留学したとき、周りの日本人留学

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酒徒の履歴書⑧ - 酒は憂いのたまははき

社会人生活の最初の6年で、居酒屋巡りに傾倒した僕。今も心に残る店との出会いなどを経て、自分にとっての良い店とは何かを、徐々に煮詰めていった時期でした。そして、いよいよ中国へ旅立ちます。 雌伏篇3(二十代半ば) 2000年代初頭、和彦によって、飲み歩きへのヘブンズドアーを開かれた僕。自然、東京での食べ歩きでも、居酒屋へ行く比率が高くなった。大勢で騒ぐより、ひとりふたりで酒を飲む方が好きな僕みたいなタイプには、小さな居酒屋のカウンターで日本酒をすする時間が何より心地よかったの

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