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私のオススメ本【リップヴァンウィンクルの花嫁】

今回は大好きな岩井俊二さんの本を紹介したいと思います。私は、岩井俊二さんの作品は、淡くて美しくてところどころにスパイスがきいたもの、か、全体的に攻めてる感じ、だけど透明感があって美しいもの、のどちらかだと思ってます。「リップヴァンウィンクルの花嫁」は後者です。

どうしてそんな判断しちゃうの?

登場人物は全員、胡散臭いか、判断力に難がある。特に主人公七海は要所要所で、「え?」と思うような判断ばかりしててイライラさせられます。

しかし、どこか美しいのです。要所要所で文学作品の世界観を本歌取りしていて、それが本当にぴったりなんです。また、クライマックスに登場するチャペルとウエディングドレスは、文章を読んでいるだけであまりの美しさに涙がこみあげてきました。

主人公にイライラさせられる物語

先ほども書きましたが、この物語はとにかく主人公にイライラさせられます。

「私ならそれは選ばない、っていうか、常識で考えたらそれはないよね」「ちょっと待って、その話なんか変だよ。なんで突っ込まないの?」「いや、おかしいでしょ。なんでそんな話を信用するの...」

こんな状態でこの子は大丈夫かしら?悪い人に騙されてしまうのでは?と思ったらやっぱり。

とにかくイライラさせられっぱなしなのですが、どうにかこうにか、最後は自分の生きる道を見つけたみたいで安心しました。

胡散臭い男

主人公に次いで登場回数の多い安室という男性、この人は完全に胡散臭い男です。

俳優志望とはいいながらも彼の言動は、絶対になにか後ろめたいことをしているに違いない、と思わせるものがありました。

物語での彼の役割は、「ああ、やっぱりね」という展開なのですが、ラストでまさかのキャラ崩壊です。

この物語を読み終わった後から私はずっと「安室さんの最後のアレは、彼が初めて見せた彼の本当の姿だったのだろうか。それとも次のビジネスのための演技なのだろうか...」と考えています。

淡い美しさ

私は岩井俊二さんの作品は小説も映画もどちらも大好きです。

私が彼の魅力にとりつかれた作品「スワロウテイル」では、中国語、タガログ語、英語、日本語が混ざり合う不思議な街で主人公アゲハちゃんが少女から大人へと成長する不安定さがとても綺麗に描かれていました。

ギャングと娼婦が仕事をする日常の中で成長していく少女という、なんという設定か、と当時高校生だった私は完全にやられました。

そして、こちらの「リップヴァンウィンクルの花嫁」。やっぱりすごい。

ドンクサイ女とウソと騙し合いにまみれた物語なのに、なぜか透明感があって美しい、本当に不思議な物語です。ぜひ、みなさんも読んでみてください、私のオススメ本です。





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