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私のオススメ本【びりっかすの神さま】

私の大好きな岡田淳さんの作品です。岡田淳さんの作品では、学校の日常は一瞬でファンタジーの舞台へと様変わりします。

ところで皆さん、「びり」はお好きですか?

かけっこ、算数のテスト、逆上がり、給食を食べ終わることまで、子どもたちはいつも競争しています。1番がいれば当然びりもいます。「1番」は気持ちがいいけど「びり」は恥ずかしい。

いえいえ、この本を読むと「びり」も悪くないなって思いました。その理由から紹介していきます。

びりっかすさんとお話しできる

この物語に登場する妖精さん「びりっかすさん」は、びりの子どもにだけ見えて、しかも声を出さなくても心で思うだけでお話しすることができます。

妖精びりっかすさんは、羽根の生えた可愛い女の子…ではなくて、ボサボサ髪のおじさんです。

しかし、羽根は生えていますし、なかなか面白いことを言ってくれます。

わざと負けてもらったら嬉しい?

主人公はじめは、わざとびりをとり続けます。そして、ある日それを同じクラスのみゆきに知られてしまいました。

みゆきは怒ります。「みんなにひとつずつ順位をゆずって、どんな気持ちなの?嬉しいの?」

私たちが、なにかが上達したかどうかを知る基準に順位があります。クラスでの順位がひとつ上がれば嬉しい。でも、もし、本当はもっと上にいるはずだった子がわざと下にいくために手を抜いていたとわかったら、がっかりしますよね。

なんでそんなことをするんだ、競争に真剣に挑んでいない人に勝ったとしてもぜんぜん嬉しくないのです。

一生懸命すること

競争に真剣に挑まないことは、競争相手をバカにしているのではないか?この物語の登場人物たちは考えます。

クラス全員で真剣に真面目に考えた結果、競争には手を抜かない、どんな事情があろうと真剣に勝負することを決めます。

そう、結果は結果でしかないのです。大切なのは順位ではなくて真剣に勝負したかどうか、それを子どもたちはびりっかすさんから学んだのでした。

びりっかすさん

物語の最後、びりっかすさんの正体が明らかになります。

私は、子どもの時は「ふ~ん」で終わっていましたが、大人になった今、改めてこの本を読むと、このラストは読者にいろいろな想像をかきたてます。

私は、「ああ、そうか。きっと自分自身がずっとびりっかすだったんだ。だから、あんな風にまでして...」と納得しました。

びりっかすの経験のあるみなさんには、ぜひ、この本を読んで競争の意味を考えて欲しいと思います。私のオススメ本です。



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