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解説! ライツ・オファリングとは

※2024年2月の東証グロース市場において時価総額が最下位だった当社が下克上を目指す挑戦記です。ぜひフォローして下さい。

こんにちは。株式会社地域新聞社(2164)コーポレートコミュニケーション室の五十嵐(いからし)です。

当社が先日発表した「ノンコミットメント型ライツ・オファリングに関するお知らせ」について多くのお問い合わせをいただきました。

ライツ・オファリングは欧州では一般的な手法ですが日本では実施事例が少なく、聞き慣れない方も多いかと思います。
今回のnoteでは代表取締役社長の細谷監修の下、ライツ・オファリングについてできるだけ分かりやすく解説いたします。


ライツ・オファリングとは

会社が資金を調達する場合、銀行からの融資などの他、株主資本(エクイティ)から増資をする方法があります。後者を「エクイティ・ファイナンス」と呼びます。

ライツ・オファリングとは、新株が取得できる権利(新株予約権)を既に株を持っている方(既存株主)に無償で割り当てるエクイティ・ファイナンスの手法の一つです。

権利を割り当てられた株主の皆さんには、
➀新株予約権を行使する
➁新株予約権を市場で売却する
③新株予約権を放棄する

の3つの選択肢があります。

エクイティ・ファイナンスは、「株式を増やして資金調達をすること」と先ほども書きました。
では、新しい株が増えるとどうなるか。株式資本が増えると、全体に対する自身の持株比率が下がります。
これは「株の希薄化」といわれ、既存株主の皆さんにとっては歓迎できるものではないというのが通説です。

ですが、エクイティ・ファイナンスの中でもライツ・オファリングは、既存株主の権利に配慮した手法といえます。

その理由は、次の項目で説明したいと思います。

一般的なエクイティ・ファイナンスは3種類

一般的なエクイティ・ファイナンスは大きく3種類に分けられます。

1.公募増資
不特定多数の幅広い投資家に新株の取得申し込みを呼びかける方法
 
2.第三者割当増資
従業員や親会社、業務提携先、取引先、金融機関など何らかの関係のある第三者に対して新株を割り当てる方法
 
3.株主割当増資
既存株主にのみ新株を割り当て、資金調達を行う方法

 このうち「株主割当増資」の変形バージョンが「ライツ・オファリング」です。

一般的に行われることが多いのは「公募増資」と「第三者割当増資」ですが、どちらも新株の引受人は、「不特定の投資家」です。

「公募増資」と「第三者割当増資」

新規の投資家が増えると、前述した通り「株の希薄化」など既存株主にとってネガティブな影響もあるため、新株の発行価格や新株の増加数には規制が設けられています。
 
一方で「株主割当増資」は他の2つと異なり、既存株主に向けて新株を募集します。

「株主割当増資」

この点から、「株主割当増資」は既存株主に配慮した方法だと考えられます。
 
既存株主の権利が守られているので、新株の発行価格や資金調達額を企業が自由に決められるのもメリットです。
 
ちなみに、今回当社が予定しているライツ・オファリングはディスカウント率を50%(※1)、持株比1対1(※2)としています。

ライツ・オファリングの特徴

とはいえ「株主割当増資」にはデメリットもあります。
新株予約権の行使は任意。「ディスカウントされているとはいえ、新たな株のためにお金を払いたくない」となれば権利を放棄することができますが、そうすると持株比率の低下などを受け入れなければなりません。

しかし、ライツ・オファリングなら、新株予約権を行使しない場合は市場でその権利を売却することができます。

「ライツ・オファリング」

従来の「株主割当増資」は新株予約権を第三者に譲渡することは原則できませんので、ライツ・オファリングの最大の特徴はここにあるといえるでしょう。

既存株主は無償で割り当てられた新株予約権をディスカウント価格で行使するか、もしくは市場で売却することが可能に。権利行使を望まないとしても、市場での売却で経済的メリットを得ることができるのです。

ライツ・オファリングが浸透しない理由

ライツ・オファリングは、欧州ではポピュラーな手法ですが、日本で初めて実施されたのは2010年と最近のことです。さらに、これまで国内で実施された件数はわずか38件(※3)と多くはありません。

理由の一つとして2014年の規制強化が挙げられます。
ライツ・オファリングが日本に根付き始めた当初、業績の思わしくない企業が延命措置として実施した結果、数年後に倒産というようなケースが発生しました。

これを受けて東京証券取引所は、2014年にノンコミットメント型(※4)ライツ・オファリングについてのルールを一部見直し、「債務超過でないこと」「2期連続での経常赤字でないこと」が実施できる企業の条件となりました。

この規制により実施は激減し、業界内でもライツ・オファリングをよく知る人がほとんどいなくなってしまったのが現状です。

地域新聞社が増資をする理由

2024年6月3日に発表した通り、ノンコミットメント型ライツ・オファリングの実施についての決議を6月28日の臨時株主総会で行います。

 ライツ・オファリングによる増資の目的は、前回のnoteの「ストラテジック・プラン」にあったように、「WEB版港町構築プロジェクト」事業をはじめとする新規事業の実現です。
 
本来の循環であれば、「Cash Cow(主力事業)」でのもうけを「Star(新規事業)」に資金投入し、新しい収益の柱へと成長させます。

しかし、当社の場合は残念ながら今の事業が生み出す利益では十分な資金投入はかないません。

そのため、エクイティ・ファイナンスが必要です。その手法として選んだのが、既存株主の権利を保護できる「ライツ・オファリング」なのです。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。
当社代表の細谷は、エー・ディー・ワークス時代にライツ・オファリングを成功させ、「ライツ・オファリングはスモールカンパニーの資金調達の打開策」と説いています。
 
一人でも多くの方にご理解いただいて、当社の時価総額上昇につなげていきたいと思っています。

(※1)本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は本新株予約権1個当たり 339 円です。但し、2024 年6月 27 日(終値がない場合は、その翌営業日の終値とします。)の東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の終値の 50%に相当する金額が 339 円を下回る場合には、当該終値の 50%に相当する金額(円位未満小数第1位まで算出し、その小数第1位を切上げます。)とします。
 
(※2)本新株予約権1個当たりの目的となる株式の種類及び数は、当社普通株式1株とします。
※本新株予約権無償割当てに係る株主確定日までに当社の発行済みの新株予約権が行使されたこと等により、本新株予約権無償割当てに係る株主確定日現在の当社の発行済株式総数(当社が保有する当社普通株式を除きます。)が増加した場合には、本新株予約権の無償割当てにより発行される本新株予約権の総数及び当該新株予約権の目的となる株式の総数は増加します。

(※3)参考:外島健嗣「我が国のライツ・オファリングの現状」大阪国際大学(2024年2月)  

(※4)「ライツ・オファリング」には、権利行使期間内に株主又は一般投資家が行使しなかった新株予約権は消滅するノンコミットメント型ライツ・オファリングと、株主又は一般投資家が行使しなかった新株予約権を証券会社が引き受けて行使するコミットメント型ライツ・オファリングがあります。


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