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第10回 生体組織の巧みな構造から学ぶ細胞・組織のミクロの世界

2014.11.21
上田修司
農学研究科 生命機能科学専攻 応用生命化学 動物資源利用化学 助教

概要
生命現象は、細胞と組織の連携が織りなす巧みな構造によって徹底的に合理化されており、その顕微鏡画像は非常に美しく、研究者を魅了します。
また、多くの病気は、細胞と組織の構造に異常が生じるため、世間一般においても馴染みの高い蛍光蛋白質(GFP)、人工多能性幹細胞(iPS)などの技術も生命を形作る生体組織の解明に活かされています。
上田先生は、近接蛋白質酵素標識法(BirA*)を用いて細胞内で繰り返される蛋白質間の情報伝達を網羅的にデータ抽出する研究をされてます。その傍らで「ひらめき☆ときめきサイエンス」では中高生と地元兵庫県・神戸市の食材を組織染色する教育プログラムのお手伝いなど、地域での活動も熱心に取り組まれてます。
今回は、ひらめき☆ときめきサイエンスで作成した組織染色画像を紹介し、顕微鏡越しに見たミクロの世界から地元食材のPR方法について議論したいと思います。

第10回A-launchは
動物資源利用化学の上田修司先生をお迎えし
地域連携センターで開催しました。

今回は

再生医療にかかわる細胞工学のおはなし
上田先生の研究のお話
地域活動で関わる「ひらめき☆ときめきサイエンス」での実践の紹介

をしてくださいました。

まずは細胞工学のおはなしから。

新聞などでも報じられているES細胞・iPS細胞ですが
それらはどのようにしてつくられるのか?
その安全性は?
ということについて、専門的な立場から説明してくださいました。

話題のSTAP細胞についても
なぜ有無が議論されているのか?
科学的に整理して説明してくださったので、わかりやすかったです。

上田先生は
蛍光蛋白質(GFP:Green Fluorescent Protein)を用いて
蛋白質の相互作用を可視化する新しい方法の確立に向けて
GFPを用いたストレスを緩和する蛋白質の修復作用
について研究されています。

難しい話もありましたが
興味津々で学生さんからたくさんの質問が飛び交いました。

今回集まってくれた8名の学生さんは
農学部の応用動物学、応用植物学、環境生物学、生産環境工学
理学部生物学科、経営学部、など多様でした。

学生の発言が他の学生の気づきにもつながり
みんなで学ぶことができました。

また
地域活動でかかわっておられる
ひらめき☆ときめきサイエンス」での実践を紹介してくださいました。

「ひらめき☆ときめきサイエンス」とは
研究機関で行っている最先端の科研費の研究成果について
小学校5・6年生、中学生、高校生の皆さんが
直に見る、聞く、ふれることで、科学のおもしろさを感じてもらう
プログラムです。(詳細はこちら

研究者がプロデュースする体験・実験・講演などを通して
さまざまな疑問に答えます。

上田先生がプロデュースにかかわられた回では
動物資源利用化学の白井康仁教授・山之上稔准教授とともに
中高生を対象として
地元兵庫県・神戸市の食材を組織染色する実験に取り組まれました。

その時の画像を紹介していただきましたが
とてもきれいに染色液に染まった写真で

丹波黒大豆・金時豆のタンパク質の構造が全く違う(写真)
ということ

明石ダコは筋肉が複雑な構造をしているから滑らかな動きができる
ということ

黒毛和牛と交雑種では筋肉の間の小さなサシの量が違う
ということ

などなど、おもしろく見させていただきました。

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丹波黒大豆と他の種の黒大豆はどのように構造が異なっているのだろう?
農場で栽培しているいろいろな種類のじゃがいもを
調べてみたらどうだろう?
など、いろいろな疑問がわきます。

A-launch終了後も熱心に質問されている学生さんの姿も…
こうした研究を
地域の農畜産物などのプロモーションに活かすことができれば…
商品開発やPR活動に、学生も加わってみることはできるだろうか…
などと話が盛り上がりました。

ミクロな世界に引き込まれ
いろいろな気づきや学びの得られたお昼休みでした。

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