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地域おこし協力隊として山に移住したらパワハラとセクハラを受けた話。《事故・病気・住居編》

今回は村での生活について書きたいと思います。
私はもともと村に移住する前に入居希望の空き家があったのですが、村長の采配でそこには入居できず、役場(職場)から車で片道30分近くかかるガードレールのない崖の上の村営住宅(長屋作りの一軒家)に入れられました。
入口も狭く入り組んでおり、一度切り返さないと家の前まで車が入れられないような立地でした。

対向車が来たらすれ違えないほど狭隘な崖路

山暮らし初心者なのに、いきなり標高600mの崖の上から役場まで30分かけて通勤することになりました。引っ越しや新しい職場での業務や人間関係に疲弊している状況でこの生活はきつかったです。
そして、小雨の降る朝、通勤途中にこの崖路で対向車が現れました。私が下りる側だったので崖側ギリギリまで寄せ、対向車が過ぎてから再度発進しました。崖側は雑草が生い茂り、道路の端が見えなくなっていました。そして
一部、舗装がえぐれている箇所があり、そこから脱輪し次の瞬間、

崖の斜面に滑落しました。


実際の事故現場写真

車両の左前が潰れ、

廃車になりました。

(余談ですが、しばらくして村の若い人と話したときにこの時の事故の写真が村の人達の間で出回っていたと聞かされました。あまりに無神経な行為をわざわざ本人に伝える意図が分かりませんでした。)

この事故の後、上司に「崖路の運転がおそろしいから引っ越させてほしい。自分が死にかけた場所を毎日通勤するのは非常に辛い。」と訴えましたが、上司がさらに上にかけあっても「ほかに入居できる住宅はない」と伝えられました。

ですが、役場から車で5分の小学校の隣に新築のオール電化の村営アパートがあり、そこの部屋は空いていたのです。(引っ越し前に内見していた)
何度も頼み込みましたが、断られました。村のいろんな人にも相談しましたが、どうやら村のしきたりで「一度入居した物件からは結婚や役場の職員になるなど立場が変わらないかぎり絶対に引っ越させない」という暗黙のルールがあるようで、役場の職員(移住者)ですら冬の通勤で車がスリップし骨折するほどの事故をしてもそこから変えてもらえないそうです。
過去にも協力隊の人が事故を起こして車が大破したり、死にかけるほどの大事故でも引っ越させなかったそうです。

・・・・・・それ、移住前に言っておくべきじゃないですか?(震え)

心理的にも肉体的もダメージが大きく、廃車費用と新しい車のローンで大赤字のため、働きに来て借金を負うというカイジ現象が起こっていました。
崖の上の住宅も築年数が古く、たびたびトラブルが起こりまともに生活できませんでした。

村長に直談判までしました。それでも「次に来るやつのために空けとかないかん」などと言い訳をされ断られました。

人が死にかけても引っ越させないという非人道的な扱いに役場に対する信頼は全くなくなりました。


しかも、「事故するのは運転が下手なヤツが悪い」というふうに言われ、それが当たり前だという風潮におかしさを感じました。
ですが、いろんな村の人の話を聞いていくうちに村で生まれ育った地元の人ですら車が大破したり、命にかかわるような事故に遭っていたことが分かりました。(実際、私がいる間にも村出身の若い男性が通勤中に事故を起こしていましたし、山頂の自宅から降りてくるときに軽トラで道から転落し、その時のケガが元で入院してしばらくしてから亡くなった方もいました。)

そして、私が当初入居を希望していた空き家も村の人にいろいろ聞くと、家主の男性が家の中で孤独死して数日後に発見されたという

事故物件だったことが分かりました。

それでも死にかけた崖の上の住居よりはマシだと思い、一人で片付け作業をしていたのですが、ほこりや雑菌が肺に入り込み、激しい咳が止まらなくなりました。(ちなみにこの時に村のセクハラ常習犯の男性が飲酒運転して押しかけてきて無理やり抱きつかれてキスされそうになりました)
あまりに苦しく病院を受診しましたがコロナ禍の為、炎天下の外で長時間待たされ、完全にコロナ感染者対応でPCR検査で「コロナではない」というお墨付きだけもらって帰りました。

正直、この時点でまともに住める家がないので移住としては詰んでいました。ただ、何も仕事をしないで逃げ帰るのも悔しいですし、そもそも大赤字で引っ越すお金どころか生活費もない状況だったので逃げる選択肢すらなかったのです。

他の村の人にも空き家を貸してもらえないか相談してみましたが、「誰も貸さないだろう」と言われました。この時、空き家の本当の実態を知ることになりました。地方都市に近い過疎地域ならともかく、子供や孫が出ていくほどの田舎に人が住めるような空き家はほとんど残っていません。
しかも大した家賃収入にもならないのに、家の中の荷物を片付けてリフォームして貸し出そうなんていう奇特な人はそうそういません。
仮にも自分や家族の思い出がある家を、どこの誰かも知らない移住者にいきなり貸そうなんて人は更にいないのです。(住める状態なら貸すより自分が住むでしょう)

結局、死にかけた崖の上の住宅にいるしかなくなったのですが、そこもパッと見はきれいに見えたのですが、

とにかく虫、虫、虫のオンパレードでした。

一日で蜘蛛の巣ができ、風呂にも台所にも寝室にも虫の死骸が掃除してもいつのまにかある状態でした。

ちょっと雨が降っただけで蛇口から泥水が出て手も洗えない地獄

何より辛かったのが

家にエアコンどころかシャワーすらついておらずお風呂を入れるのにも半日かかるような風呂場だったことです。


浴槽を洗うのにも一苦労だった

水道の勢いが弱く(山の上からパイプで引いているだけ)蛇口を思い切りひねったりちょっと雨が降るだけで泥水が出るので、浴槽に水を貯めるだけで1時間以上かかりました。そこから沸かすのにさらに数時間。これは本当に不便で精神的にストレスがすごかったです。

砂まじりの風呂に入る屈辱は後にも先にも味わいたくない

更に追い打ちで、浴槽の中でクモやコオロギがしょっちゅう死んでいてお風呂に入れなかったこともあります。

ほぼ毎回風呂場に虫が出ていた記憶しかありません…

もはやホラーですが、畳の上で布団を敷いて寝ていたらネズミが体を駆け上ってきたこともあります…

ネズミはかなりの住民が経験していた

その上、留守中に室内に入り込み部屋中どころか洗濯物の上にまでフンをされました。疲労感しかありません。しかも夜中寝ていると、天井裏をドタドタ走り回ったり、壁の中の柱をガリガリかじっている音でなかなか眠れなかったこともありました。

水道がゴミが混ざっているので村の人に蛇口にストッキングをかけたらいいと言われ
つけたら2週間もしないうちにパンパンになった
洗濯機がしょっちゅうエラーになるので調べたら取水口がゴミでいっぱいになって水が流れなくなっていた(雨が降った時に洗濯機を回すと洗濯物が泥だらけになったこともあった)

ただこの状況が村の人や他の移住者と同じ環境だったらまだ納得できるのですが、先に来ていた協力隊やOBの女性は新築のオール電化の村営アパートに住んでいました。

同じ村に住んでいるのに村長の采配で入れられた住居で生活に著しい格差が生じているのをどうしても受け入れられませんでした。
役場周りの村営住宅に入居できれば通勤5分、水道は電動浄化槽付き、道は整備され家も新築オール電化。
結局、役場まわりに住んでいる人だけしかまともな生活ができない村の政治の偏りに怒りを覚えました。10以上ある山奥の集落は不便で危険で人がほとんど住んでおらず、役場を中心に2km以内にすべての機能が集中しており、もはやここは大川「村」ではなく小松(役場のある地区)「集落」になっている印象を受けました。

そして現在、その便利な新築村営アパートは地元の方や協力隊で埋まってしまったので、これから大川村に移住して来られる方はこの崖の上の住宅に入れられる可能性がとてつもなく高いです。

今までのエピソードをみて「楽しそう!山で暮らしてみたい!」と思った方は決して止めたりはしません。ただ、移住を検討されている方は自分が入ることになる住居がどういうところなのか直接確認することを強くお勧めします。

最後に、声を大にして言いたいことは

「人は都合の悪いことは言わない」です。


移住サイトは今や乱立しており、テレビや新聞でも移住者を歓迎している自治体をたくさん紹介していますが、以前に移住成功例として紹介されていた人が数年後その地域にいるか、ずっと募集をかけ続けている自治体はなぜ応募者が決まらないのか、よく考えてみてください。
とはいえ、ネットやテレビで調べられる情報より現地に住んでみないとわからない情報の方が圧倒的に多いのは当然です。
”きれいな景色” ”おいしい空気” ”あたたかい人間関係” ”自然豊かな暮らし” ”のんびりした時間” こういった美辞麗句を並べ立てる紹介サイトばかりで実際の窮状を晒す自治体を私は見たことがありません。
本当に住みやすい場所なら住民が出て行ったりしません。
ほとんどの過疎地域が借金まみれで国の補助金だけで生きていることを忘れないでください。

そしてその補助金は働いている人たちの税金から出されるのです。
会社勤めに嫌気が差し移住してくる方が多いですが、移住してきた人たちのほとんどが都会に戻っている事実を総務省は集計して発表すべきだと思います。
そして選挙で、こんな税金の無駄遣いをやめてくれる人を選ぶしかないのです。

地域おこし協力隊やOBの取材記事もよくメディアに掲載されていますが、その内容もいいところしか書いていません。実際、起業しても定住した自治体から仕事をもらって独立した風体を装っているだけです。(つまり税金)
地域の人の気遣いで仕事を回してもらっても、結局狭い範囲でお金を回しあっているだけで発展せず縮小していくのです。
内部で起きているパワハラ、セクハラ、赤字問題には蓋をして隠し、きれいで幸せそうな写真を捏造して宣伝して補助金をもらう、これが私が見た「地域おこし」の実態です。

大変長くなり申し訳ありません。ですが、これでやっとだいたいの出来事を書くことができ安堵しております。(細かい部分はまだありますが…)
最後までお付き合いいただきありがとうございました。スキやコメントを下さった方々にも感謝です。

#大川村 #地域おこし協力隊 #やばい #事故物件  #ひどい

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