楽天UN-LIMITをホームルーター化する

本記事の概要

・楽天UN-LIMITの回線をスマホやポケットWiFiではなく据え置きルーターとして使用するための方法の解説

本記事の対象

・自宅のインターネット回線を安く済ませたい方
・自宅の回線にWiMAXを使用しているが、自宅滞在時間の伸長により3日間10GB制限に耐えられず乗り換えを検討している方
・ルーターに接続している端末が多い(だいたい6台以上)方
・モバイルWifiで自宅内で電波の届かない場所が生じている方

背景

私はこれまで自宅のインターネット環境としてWiMAXを契約し、
Speed Wi-Fi HOME L02をホームルーターとして活用してました。
(ちなみにプロバイダーはGMOとくとくBBです)

↑こんなの

そんなに重いデータをダウンロードすることもないため、回線としては30Mbps程度のWiMAXで満足しており、工事をしてまで光回線を引く必要性は感じていませんでした。

しかし、昨今の時勢柄、リモートワーク化、ステイホーム時間の長期化に伴い、ギガ放題プランの3日間のデータ量が10GBを超えると翌日の通信速度が制限されるという制約がかなり不便になってきました。
「前日までの3日間の合計が10GB以上」ということは、ある日10GB以上のデータ利用があると翌日以降3日間のデータ利用が制限されるということなので、結構キツい制約となります。
ちなみにNetflixの高画質設定で映画を2本くらい観ると、すぐに10GB超えます。

3日間のデータ使用制限を気にすると気軽に映画も観られないですね。
そんなわけでWiMAXの解約を検討していたところに楽天UN-LIMITの1年間無料キャンペーンが転がりこんできたので、楽天回線を使って自宅のインターネット環境を整えることにしました。

要件

1.利用量超過によるペナルティを受けない
2.下り30Mbpsが安定して出る
3.同時接続端末数15台でも安定して稼働する

1に関しては、楽天回線も1日10GBの制約がありますが、WiMAXに比べてペナルティ期間が当日のみと軽いこと、ペナルティも10Mbpsとさほど厳しくないことから個人的には及第点です。
(WiMAXは翌日以降3日間の代わりに当日はペナルティを受けないので、4日に1日多量のデータを使うというニッチな方はWiMAXの方が向いてます)

2に関しては、少なくとも私の住む東京23区内では問題なく受信できてます。
まだ対象エリアが都市圏に限られているため、
この点についてはご自身で楽天回線対象エリア(パートナー回線ではなく)をご確認ください。
https://network.mobile.rakuten.co.jp/area/

3に関してが今回の記事の根幹であり、我が家には多数の電子製品やらスマート家電やらが常時稼働しております。
そのため、WiFiルーターにも10台ほどの多接続を問題なくこなしてもらいたいわけです。
もしあなたがスマホとPC、タブレット、あとはせいぜいスマートスピーカーぐらいのような、5台未満の端末しか同時に接続することを想定していないようであれば、
楽天モバイルの販売するAterm MP02LNなりAterm MR05LN RWなりを購入することで1年間の無料インターネット環境がすぐ実現します。

しかし、Wifiルーターの通信可能速度と複数接続端末の処理速度は全く別の性能であるため、同時接続数が増えてくる貧弱なポケットWifiでは処理しきれなくなります。制限速度100km/hの高速道路でも、一本道と分岐の多い道では後者の方が渋滞が起こりやすいのと同じような原理です。
実際、公称の同時接続数が15台のポケットWifiであっても、端末を7台接続しただけで同時処理の限界が訪れ、常にいずれかの端末が通信不調になるという状態になりました。

構成設計

上記問題への解決方法としては、
・高性能な据え置き型LTEルーターを使う
・LTE通信機能とWifi通信機能でデバイスを分ける

の2つが考えられます。

前者については、WiMAXで使っていたSpeed Wi-Fi HOME L02がそのまま使えれば良かったのですが、楽天回線の使用するバンド3という規格に対応していなかったので泣く泣く諦めました。
そもそもバンド3対応の据え置き型LTEルーター自体がニッチな市場のようで、現行の対応機種としてはIODATAのWN-CS300FRぐらいしか選択肢が見つかりません。

しかし、発売開始から日が浅くIODATAのルーターの性能に不安が残る点や、
5GHz帯に対応していない点や通信の安定性などWifi側の機能が後で説明する後者の構成に比べて不足していたため、
1.5万円というコストに見合ったものではないと判断し、私は後者を選択しました。
ホームルーターを1つのデバイスですっきりさせたいという方には、こちらの端末を設置することもアリだと思います。

後者について、構成を模式化すると以下のようになります。

画像5

この方法のメリットとして、選択肢の限られる据え置き型LTEルーターに対し光回線用の好きなWifiルーターを使用できるため、予算、自宅の広さ、使用形態に合わせた選択が可能となります。
また、自分は実施する予定はないですが、モバイルWifiを経由しているので外出時にはポケットWifiとして使用、在宅時にはWifiルーター専用機として使用という使い方も可能です。

以降では実際にどのようなデバイスを用意するか、どのような設定を行うかを解説します。

モバイルWifiの選択

モバイルWifi側の要件は、
・バンド3への対応
・有線LAN出力可能

の2点です。

モバイルWifiを有線対応させるには、別売りのクレードルを購入することになる機種がほとんどかと思います。
要件を満たす最新型機種としては以下の二つがありますが、今回の構成ではモバイルWifiのWifi機能は殺してしまいますので、正直オーバースペックです。

そのため、その下に記載している型落ち機種、あるいはもっと型落ちのものでも十分です。どうせ30MbpsのLTE通信を有線LAN経由でWifiルーターに流すだけの用途なので。
私はFS030Wを使用しておりますが、上記2つの要件を満たせば何でも大丈夫です。

NECのAterm MR05LN RW
(楽天モバイル経由購入で21,637円+2,500円(クレードル))

富士ソフトのFS040W

上記2機種の型落ちである以下のいずれかを新品なり中古なりで購入するのでも十分です。
プロバイダが回線とセットで売っていたという背景もあり、中古であればクレードルとセットで1万円ほどで調達可能です。

NECのAterm MR04LN

富士ソフトのFS030W

Wifiルーターの選択

Wifiルーターは予算、自宅の広さ、使用形態に合わせて選択いただければと思います。
先述したように自分は端末同時接続時の安定性を重視したので、以下の2つを検討し、NECのAterm WG2600HP3を選択しました。

一軒家暮らしで広範囲への接続を優先したい場合にはメッシュWifiでもいいかもしれません。
(楽天回線エリアでそんな広い家に住めているなら、光回線を契約したほうが……とも思いますが)

セットアップ

物理的なセットアップは、
・クレードルとWifiルーターをコンセントに差す
・クレードルとWifiルーターをLANケーブルで繋げる
(Wifiルーター側の端子はWANに差す)
・モバイルWifiにSIMを挿入してクレードルにセットする

で完了です。

あとは放っておけばモバイルWifiが楽天モバイル用のAPN設定を行って繋がり、WifiルーターがWiFiを飛ばすようになるはずです。
ソフト上の設定は細かいことが分からない場合そのままで十分ですが、以下の設定はしておくといいかもしれません。

モバイルWifi側の無線LANをオフにする
ポケットWifiとしての持ち運びを全く予定していないようであれば、
電波の混線を防ぐためモバイルWifi側の設定は「無線LAN」をオフにしておくことをおすすめします。
こうすることでモバイルWifiからはWifiが飛ばなくなり、家庭内で2つのWifiが入り乱れることを防げます。

AP(アクセスポイント)モードかRT(ルーター)モードか
これに関してはどっちがいいのか自分でも判断しきれなかったので参考までに留めていただければ。
モバイルWifiとWifiルーターを連結させたことで、ルーター機能が重複する二重ルーター状態になってしまいます。個人的にはモバイルWifiの負荷を高めたくないので、二重ルーター状態のまま(RTモード)にしていますが、モバイルWifi側の無線LANもオンにするのであればWifiルーター側をAPモードにして二重ルーター状態状態を回避した方がいいかもしれません。

結果

費用:WiMAXの解約費用とモバイルWifi、Wifiルーターの調達費用を合わせて33000円ほどかかりました。
これまでの回線費用4000円/月が1年間0円になることを考えると直接的には15000円程度の節約効果です。
あと追加で楽天モバイル契約時に何千ポイントか楽天ポイントがもらえました。(ポイントを貰うには一度SIMをスマホに挿して楽天Link経由の通話、メッセージ送信を行うという手続きが必要ですが)

使用しているのがSIMフリーのモバイルWifiとそこそこのWifiルーターなので今後回線契約を変更しても転用可能、転売可能というのも資産的なメリットですね。

効果:1日中30Mbpsが安定して出ており、同時接続端末数10台で全て問題なく稼働してます。

1年後どうするか

解約金もかからないので、解約して別の回線を契約する(SIMフリーモバイルWifiなので大抵の回線には対応可能)、あるいは観念して光回線を引くことも検討しています。
楽天モバイルとしても、1年後の解約ラッシュを指を咥えて見ているはずもなく、何らかの追加キャンペーンを実施することが想定されるので、その内容次第で継続も視野に入れてます。

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