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ちいの成長が、僕らの・・・

こんなに・・・
もう、こんなに成長してたのか・・・・。
ちいの決意が、その表情が、なんでこんなに苦しいんだろう。なんでこんなに切ないんだろう。
僕らはいつの間にか、この物語に溶け込んで、ちいに重なっている自分を見つける。

前回、ちいが話しかけようとしたのをさえぎる形でハチが来て、あ、言いづらいことを言うのに、やっぱり最後に背中を押してくれるのは「ともだち」なのかな、と思った。
「・・・・何かあったの・・・・」
やっぱわかるよ、ハチは。わかっちゃうヤツだもん、ともだちだもん。
「ウン・・・」
そう答えた時、ちいは確かに、話そうとしていた。

けど見たんだ。
もう一組の「ともだち」が、震える手をぎゅっとつないでいるのを。

そうだよね・・・
今、いっちばん怖いのはさ、不安に押しつぶされちゃいそうなのは、この子たちなんだよね。2人は、もう、覚悟してる。
ちいはそれに気が付いたんだ。

それで、ハチに話すのをやめた。決意の表情で。
もうこのまま何も明かさず、何も伝えず、この島を去ることも出来る。
でも・・・

ラッコが「お尻に出来るものとはなんだったのか」と話すのを聞きながら、人魚がどうなったのかも「永遠のいのち」の秘密もぜーんぶつながってしまった。
そしてその想像は、おそらく正しいと、ちいにはわかっている。

2人が、必死で秘密を貫こうとしている。
秘密が明かされた時には、きっと覚悟を決めてる。
でも、人魚のいのちも、島民のいのちも、2人の永遠のいのちも、もう元には戻らないんだ。
だったらこれ以上、誰かが不幸になることはないんじゃないか。

セイレーンはきっと戻ってくる。
2人は、ここにはもういられない。
それなら・・・・
一緒に帰れないかな・・・。

「一緒に、島を出よう・・・。」
そう、伝えよう。

きっと、その約束は果たされない。
何が起きてもおかしくない綱渡りの状況に目が離せない・・・けど、もうこれ以上、決定的なことが起こらないで欲しいとも願っている・・・。
「タンサン」が「単三」とか笑っちゃわずにはいられない、それでいて鳥肌モノの、ゾッとしながら感心せざるを得ないような伏線回収や超展開を決めといて、なんでなんでこんなに・・・・取り返しのつかない・・・美しい物語になってしまうのか。

マンガが好きなら、「ちいかわ」をちゃんと読めば、このマンガが少なくとも「普通じゃない」ことにイヤでも気付くだろう、とは思う。
でも、もう、わかる人にだけ、わかってもらえたらいいよ。
誰にでも勧めるようなことはしたくない・・・僕らにはもう「ちいかわ」は、それくらい大切な物語になっている。

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