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ありがとう、ごめんね

涙が出るときは
安心するときだったりする

来る日も来る日も
不安でいっぱいで

他人の目が
言葉が

自分の無力さや
大切な人にかける迷惑が

怖くて

悲しくて

あまりにも苦しいと

人は感情を動かす力もなくしてしまう

こんなにも悲しいのに

涙が出ない

体も動かなくて

心も動かない

でも

考え事は加速する

そしてついに

そのために貯めてきた力かのように

ある勇気が湧いてくる


溺れるのが一番苦しいといわれる

転落事故や交通事故は後遺症が残るかもしれない

できるだけ人に迷惑をかけたくないと

ひとり静かに

部屋のなかで

そういう優しくて哀しい霊が

世の中のいろんな部屋のなかに

動かない感情をかかえたまま

魂をも動かせずに

今もそこにいる


涙がとまらない
引っ越してきてからというもの

なぜだか涙が出てしまう

布団に入ってスマホをいじるとき

トイレでぼーっと座るとき

仕事が終わって帰ってきたとき

悲しくて孤独で虚しくて
無力感と未来への絶望感で

涙をひとしきり流すと

朝は気持ちが晴れている

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