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大きいサイズのブラジャーはなぜ高いのか

大きいサイズのブラジャーについてよく質問をいただきます。
中でも多いのが、「大きくてプチプラのブランド知りませんか」です。


大きいサイズのブラジャーに対する個人的意見

大きいサイズのブラジャーって、高いんですよね。
高いブランドは特に、カップサイズで値段が変わってきます。(大きくなるに連れ高くなる)
でも私は、大きいサイズも小さいサイズも価格は同じであってほしいとどうしても思ってしまいます。

しかし、現実問題使っている機能や使用する布の面積、種類や数が増えるので価格が上がるのは当たり前です。
そして、最近ある企業の方から聞いたお話で私は考えを改めようと思い始めました。


そもそも大きいサイズの価格について考えるようになったきっかけ

私が大きいサイズの価格を普通のサイズを同じにしてほしいと思った理由は、Iカップの友達ができてからです。

就職先は大手のアパレル企業。でもアパレルはお給料が本当に少ないんです。(ボーナスは12000円と聞いたときは本当にびっくりした…)

私もアパレルなので、お給料にさほど差はなかったと思いますが、その子と私の大きな違いは下着にかけられるお金です。
(私はEカップ、彼女はIカップでさらにアンダーは展開の少ない65センチ)

ルイグラマラスやエメフィールなど、比較的安価なブランドも一時期つけていたそうなのですが合わず、泣く泣く高いところのものを購入していました。

その時、「お給料同じでもバストが大きいと言うだけで、ブラジャー代が大半を占めて生活がより苦しいと言うのは、とても悲しく不公平ではないのだろうか」と思いました。

Iカップともなれば、大きいサイズはブラジャーだけで1万円を超えてきます。
私はデザインやカップの形という選択肢がたくさんある上に、価格も選べるのに、彼女はそこにあるものを買わなければもう次いつサイズがあるかわからないんです。

(ちなみに、大きいサイズは作りがあっても店舗に卸されておらず通販のみだったり、購入必須で取り寄せたりのパターンが多いです。)


大きいサイズのブラジャーがなぜ高いのか

私の個人的意見を述べた上で、企業的な話です。

大きいサイズがなぜ大きいかについて、「使う布面積が増えるから」と言うのはよく聞きますが、それでいうと「お洋服はサイズによって値段が変わらないじゃないか」と言う話になってきます。
(実際、お洋服も大きいサイズは価格をあげたほうが良いと私は思っています)

もう一つ、高くなってしまうのは機能が増えるからなんです。
大きいバストはボリュームも増えるので、機能を追加しないとブラジャーとしての役割が減ってしまいます。
(例えば支える力や引き上げる力を強くするために、ワイヤーの形を変えたりストラップを太くしないといけません)

通常サイズと同じコストで作れば、乳首隠しにしかならないレベルのものが出来上がってくる可能性大です。

また、「デザインが変わることがある!」と苦言をいただくこともありますし、私もそれは思います。
しかし逆を言えば「大きいサイズの方のバストを綺麗に見せるために」わざわざ別のパターン、デザインで作ってくれているんです。

手前にあるBカップのデザインを期待して探して、
違うデザインになれば確かに悲しいですが、
それはそのサイズの為だけに作り直された特別なものなんです。


大きいサイズの価格が高いのは悪いことなのか?

私はもう会社の人間ではありません。
どちらかと言えば消費者の立場で商品を見ているので、
今は価格統一化してほしいという気持ちがありますが、
企業の目線で見ると価格を変えているのは一種の企業努力でもあると思います。
(これは最近ある方とお話しをしていて、考え方が増えました)

大きいものには、その分お金がかかります。
「お洋服はサイズによって値段を変えない」と持ち出してしまえばその通りですが、前述した通り本来お洋服も生地を使う分価格をあげても良いと私は思います。

モノが溢れることによって、安くて美味しいもの、安くてクオリティの高いものが求められるようになり、「プチプラ」「コスパが良い」という言葉も定着しました。

その中でお洋服は、ユニクロを筆頭に安くて良いものが溢れ、
価格競争が始まり、クオリティは下げずできる限り安く、
薄利多売を想定した商品開発が進んでいます。

そんな中、
下着業界は「クオリティの分、価格をいただいている」業界でもあります。(チュチュアンナやウンナナクールなど、少しずつ~Fカップまでは同じ価格のブランドやラインナップも増えてきましたが)

今この低価格高クオリティが良しとされる時代の中、カップサイズ毎に価格を変えたままで要るのはある意味勇気が要ります。

しかし、

・使用した布
・開発の時間
・使った技術や機能

これらに対する対価をいただくのは本来正しいことです。
正しいことを曲げないのは、作り手や会社を存続していく上で必要なことではないでしょうか。


企業と消費者のすれ違い

私がこのnoteを書くきっかけになったのがこちらのツイートです。

私はTwitterでは消費者目線なので、寄り添いたいと思いこういったTweetをしました。
定期的にツイートする内容ですが、普段は大きいサイズが高いのは機能や布を使うからですよ〜!と説明しますが、基本的には「お金持ちになったら巨乳手当を出したい」と思うくらいに価格統一したい気持ちは強いです。

しかし、前述したように企業に拍手をしたい気持ちもあります。


バストが大きい方の中には、
・大きいからお金がなくなる
・種類も少なくて否定されたような気持ちになる
・大きいサイズを勧められると、高いものを売りつけられた気持ちになる

と感じる方は少なくありません。

私もIカップだったら本当に3回くらいは絶望していると思います。
そう感じている方を間近で見てきて、気持ちを想像できるからこそ、
私はどうしても価格統一化を願ってしまいます。

しかし、消費者の皆様に言いたいことは、スタッフは売りつけようと思って大きいサイズを勧めているわけではありません。
そして、種類が少ない中でもサイズを展開しているブランドは、それこそ企業努力なのです。

希少価値の高いものには、それなりの値段がつくように大きいバストの需要はまだまだ少ないです。
(水面下では多いでしょうが…)

正直、売上のことだけ考えれば大きいサイズを作るのは売上に直結しにくいので得策ではないと私は思います。
私が販売員だったころ、Gカップ以上のお客様に会うことは1ヶ月に3回あれば多いくらいでした。
1人3枚購入してくださり、差額がEカップと300円の違いと仮定しても1月に2700円の売上です。
その2700円のために、企業はわざわざ開発しているわけではないことを知っておいていただきたいです。

売上が取れなければ、数を捌けなければ、企業は作りたくても作ることができません。
実際、数を捌けていないのでまだまだ高価なものでデザインを豊富に選べるほど種類もないのです。

バストが大きく、ブラジャーの値段が高いことで「私だけ」と孤独を感じることやコンプレックスに感じることもあるかもしれません。
ですが、現場のスタッフ、企業も少しづつニーズに応えられるよう努力しています。

Fカップまでしか取り扱いのない店舗にいた販売員時代、Gカップの方がいらっしゃった時、紹介する商品がなかった悔しさは今でも忘れられません。
(私が異動になったあとコアデザイン以外はDまでに縮小されたと聞いて発狂しそうになりました)

需要がないところには、商品は用意されないのです。
ですが、Fカップがあったことを喜んでくださるお客様が1人でもいれば私たち販売員は置いておいて欲しいと思ってしまうものなのです。

辛い気持ち、期待に応えられない悔しい気持ちは私たち販売員にもあります。

お客様にお願いしたいこと

すぐに価格を下げることは難しいです。
肌に直接つけるものなのでブラジャーを作るのは、安易ではないので、どこかで支障がでる可能性があります。
もし価格について比べるのなら、
お洋服ではなく靴と比較していただきたいです。

質が良くてきちんと試着をした靴は長く履けてどこまでも歩いて行けますが、安価な靴だとその靴の寿命が短いように、下着も長くお客様につけていただき、心地よくさせるものを作るにはお金も時間もかかります。

なので既存のアイテムの価格を下げるのは難しいのが正直なところです。
(高くても少なければ売れるので)
しかし、デザインやパターンは増やせます。
(そして人気が出たりたくさん売れれば、もしかするとプチプララインも出ます)

どうするかというと、たくさん買って「需要あるよ!!」ってことを企業にアピールするんです。

推しを応援するのと同じです。
必要だから、増えてほしいから、課金して応援する。

応援お願いします。

そして、しつこいほどに店舗で聞いてください。
私たち販売員は、
お客さまからの声がないのに本社に「大きいサイズを作ってください」とは言えません。

お客様からの「欲しい」と言う声が多ければ多いほど、大きいサイズを増やすことができます。

(してる方も多いと思いますが、販売員さんはその声を「週に◯件あります」って報告してくださいお願いします。)


企業様にお願いしたいこと

頼むのでもうちょっと買いやすくしてほしいです。(値段的な意味ではなく)
店舗でサイズ展開ないのは仕方ないです。
ですが、Gカップ以上をお求めの方がご来店された際「ないです」で終わってほしくないんです。

お客様は「ここならあるかな」「ダメ元だけど」という気持ちで足を運んでくださっています。
もう販売員じゃない私が言うのもなんでやねんって話ですが、可能であれば取り扱いがある近くの店舗やECサイトの情報をお客様に教えていただけませんでしょうか。

せっかく時間を使ってきたのに、なんの情報もなくお客様をただがっかりさせてお帰しするのは、お客様に「下着屋さんは安心できないところ」という印象を与えてしまいます。

今下着業界が抱えている問題は、
お客様が下着専門店の敷居を高く感じてしまっているところです。

下着業界全体で、下着専門店の必要性を説くためにも、店舗になくても何か一つ、情報という商品をお渡ししていただけないでしょうか。
もしかすると、そのお客様が別のお客様を連れてきてくださるかもしれません。

そして、現場ではボトムアップをお願いします。
お客様の声をしっかり全部まるっと上に伝えてください。
(こちらもやってる店舗が多いと思いますが)

本社の方、現場の声を拾ってください。
お客様は「ないだろう」と思ってきているので、スタッフにも聞かずになんとなく自分で店舗をみて帰ってしまう場合もあります。
それを観察しているのは販売員です。
現場の販売員さんの声を大切にしていただきたいです。

そして前述したように、たった1人のHカップのお客様に笑顔になっていただくためにGHカップの商品を置いて欲しいと思う販売員もいます。
自分のお店を、その1人のお客様の拠り所にしたいんです。
(それができないのでフリーになったって言うのもあります)

夢じゃ店舗運営はできませんが、
夢がなければ店舗の価値は下がってしまいます。

どうか1県に1店舗でも良いので全てのサイズ展開があるお店を置いて欲しいです…。


最後に

色々と書きましたが、今ある大きいカップ問題は非常に根深いと私は考えています。
(こっちを直そうと思うとこっちがやばくなることが多い)

なので、企業様とお客様の双方が意識して良い相乗効果を生み出していくのが大切だと私は思います。

こちらのツイートをきっかけに、眼鏡の販売員さんからご意見をいただきました。

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レンズと下着だとどれだけ技術の大変さに差があるのか私にはわかりませんが、下着の専門業界全体の需要が高まることで価格的にも下着の幅が広がるのではないかと考えています。

まとめると「結局ちーちょろすはどっちやねん!」って話なんですが、どっちの言い分もわかるので双方にメリットがあるように自分にできることを頑張ります。

まずはこのまま、私は下着の需要を高めていくために活動を頑張りますので私の応援とご意見(ぜひこちらのnoteのコメントにください!)をいただければ嬉しいです。

そして心の片隅に、このnoteのことを思い出してください。

企業さま、大きいサイズをちょっと多く作って私に報告していただければ拡散します…!!

お客様、拡散したもののサイズが合えばぜひ買ってください…!!
(下着は7枚を手洗いして2年が使用期限ですので揃えていただけると嬉しいです…!)

みんなでやらねばこの問題は解決しません。
まずは私が正しい知識を発信するので、一緒に頑張っていただけると嬉しいです。

サポートはちーちょろすの活動資金にさせていただきます🐰 いつか学校で下着を義務教育にしたいです…