『スローフード宣言~食べることは生きること』を読んで
はじめに
今年のお盆は、アースデイの活動をされている方からご紹介いただいた『スローフード宣言~食べることは生きること』を読んで過ごしました。
この本には私が目指したい食との関わり方や地域社会のあり方が書かれていました。
この本を読んではっと気づかされたこと、やっぱりそうだよなと確信を持てたことを、ここに記しておきたいと思います。
人間も"植物"であった
本の中で、ウェンデル・ベリーの著書『小さく考えよう〔Think Little、未邦訳〕』より、下記の言葉が翻訳して抜粋されていました。
人間も植物のように根を張り、大地と繋がっているという表現が、あまりにも的確すぎて私の心に刺さりました。
「農業は土づくりから」とよく言いますが、美味しい作物を育てるには健康な土づくりが基盤となります。
そしてその大地の恵みである食べ物をいただいている私たちは、自然に生かされている植物と変わりません。
まさに「食」が人と自然や地球環境、地域社会との接点になっているのだと改めて思いました。
畑都合の日替わりメニュー
この本の著者であるアリスが運営するレストラン、「シェ・パニース」では、作りたい料理のために食材を集めるのではなく「地元農家から手に入る旬の食材で、何ができるか?」という発想で、毎日違うメニューを出しているそうです。
毎日決まったものを同じ質で同じ量必要とするのが一般的な飲食店だと思いますが、自然と対峙する農業はそんな工業的に生産することは出来ません。
そんな不確かな環境でリスクを背負って私たちの食べ物を作ってくれている生産者さんへの敬意を持って、畑に今あるもの、旬の一番おいしいものをいかに料理するか。それこそが料理人の腕なのではと私は思います。
「食べる」と「捨てる」
食の話をする時、「作る」「食べる」に焦点が置かれがちです。
でも食べることは「捨てる」とも切り離せません。
シェ・パニースで魚を調理した時、その骨や内臓の捨て方が雑で、このような指摘をもらったそうです。
この言葉が、「レストランの運営全体が世界とどうつながっているかを意識し始めた最初のきっかけでした」とアリスは述べています。
レストランは生産者と消費者を繋いで終わりでは無く、社会との様々な接点があることに改めて気付かされました。
食については「何をどう食べるか」だけでなく、「何をどう捨てるか」も考えなければなりません。
現在シェ・パニースでは生ゴミをコンポストしていて、自然の循環の一部になるような運営を心がけているそうです。
シンプルで小さなローカル経済圏
アリスは、小さいローカルな経済圏にて、シンプルな食のネットワークを築くことをおすすめされています。
私は今仕事で北海道と消費地を繋ごうと奮闘しておりますが、それでもやはり、つくる人と食べる人の距離が近い循環が日本各地で生まれる方が、無理なく、無駄なく持続させやすいのではと考えます。
将来的には私が住む予定の京都にて、シンプルで小さな経済圏のロールモデルを生み出していきたいです。
やはり教育は希望
この本の訳者である小野寺愛さんは、地元で子育てをしながら、保育園と放課後自然クラブを運営されています。
そこで小野寺さんが気づいたことをこのように記されていました。
まだ先入観も偏見もない子どもたちに、食を取り巻く世界の繋がりを、頭だけじゃなく体と心で感じさせることがいかに大切かを感じました。
生産者と関わって、実際に土に触れて、育てた食べ物を調理して、旬のものを味わう。そんな教育が世界中の学校教育の中に組み込まれてほしいなと思います。
私もいつかはそんな教育の担い手になりたいです。
さいごに
この本は、改めて私はどう生きたいのか?を考えるとてもいいきっかけになりました。
さて、京都で地に足つけて一歩踏み出すためには、何が必要か??
「つくるを食べるのもっと近くに」という素晴らしいビジョンを掲げる今の会社で出来ることを増やしつつ、上記の個人的なミッションについても考え始めよう、と思っている今日この頃です。
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