見出し画像

オンラインの場は、「違う」のだ

緊急事態宣言の対象が全国に拡大されて、娘の保育園から登園自粛の要請が出た。約2週間前のことだ。
翌月曜日から、娘はずっと登園を自粛している。友達と遊ぶのが何よりも大好き!な娘にとって、それはなかなかに寂しいことだ。

新年度、年長さんになって、「絶対いっしょのクラスになりたい!」と言っていたYちゃんとNちゃんと、奇跡的にどちらも同じクラスになれて喜んでいたところだった。

娘はひとりっ子。家で遊べる兄弟姉妹もおらず、無駄に(笑)キャーキャー言う機会が減っている。

何かと仕事がオンライン化され、zoom三昧な日々を過ごす私を見て、娘も「YちゃんやNちゃんとオンラインしたい!」と言い出した。
zoomではないが…「子どもたちにLINEのビデオ通話させていいかな?」と、ママ達に連絡し、今週、Yちゃん・Nちゃんそれぞれと、娘はLINEのビデオ通話をした。


ハイテンションな時間

ある平日の夕方、YちゃんからLINEの着信。久しぶりに顔を合わせた娘とYちゃんは、しばらく爆笑していた。何を話すでもなく、笑い合う。
「何か話したら?」と親は思うのだけれど(笑)。

5分か10分が経った頃、おもちゃの見せ合いっこが始まった。

「それ何ー?」
「すみっこぐらしの○○だよ!」
「Yもすみっこぐらし持ってるよ!」
「あはははは!」

その後、二人ともハイテンションで、キャーキャー言っていた。30分ちょっと、その調子で遊んだ二人。満足して、「また話そうね!」とビデオを切った。

その夜、「Yちゃんと話せて楽しそうだったね」と言ったら、

「ほんとは会って遊びたい。保育園の皆といっしょに遊びたい」

と泣き出したのだけれど。


うまく話せない時間

Nちゃんとビデオ通話をしようと約束していたのは、その2日後。Yちゃんとの時間が楽しかった娘は、その日をとても楽しみにしていた。

約束の時間、画面上に映るNちゃん。二人ともちょっと恥ずかしそうに、「ふふふ」と笑っている。

ただそこから、Yちゃんとの時間のようにはならなかった。会話のきっかけが掴めない、という感じだろうか。お互いの親が何度も「話さないのー?」と声を掛けても、二人ともモジモジしたり、無言でひとり遊びをしたり(笑)。

だんだん、雲行きがあやしくなっていく。「Nちゃんが喋ってくれない」と言い出す娘。いや、Nちゃんも時々「何してるの?」など聞いてくれるのだが、娘はどう答えてよいかわからず(画面の前で、特に何もしていないからだろう…)黙ってしまう。

そうして、二人ともそれぞれにこっそり泣き出したりして、ほとんど何も話さないまま「オンライン」の時間は終わったのだった。


「ちょっと違う」のだ

子どもたちの姿を見ていて、そうだよなぁ、と思った。
普段の「保育園でいっしょに遊ぶ」というコミュニケーションと、ビデオ通話とは、「違う」のだ。

大人は、もちろん実際に会って話すこととzoomで話すことの違いを頭で理解していると思う。zoomでは相手を平面しか見られないし、触れることもできない、ということを知らない人はいない。
ただ、意外と、「その違いを感じて受けとめる」ということをしていないかもしれない、と思った。

大人だから。
その「違い」を感じて戸惑わないように、そのダメージを受けないように、「オンラインもいいものですね」と場を成立させようとする。
「なんか照れるから話したくないです」とモジモジしたり、恥ずかしくて笑い出したりすることなく、「順応できている自分」になろうとする。
(…のかもしれない。)


今や、オンラインミーティングやオンライン飲み会は当たり前に開かれている。(ほんの3ヶ月前までは、こんな世界になるとは思っていなかったものだ!)
オンライン授業、オンラインお見合い…コミュニケーションがオンライン化していくシーンは、これからどんどん増えると思う。

リアルの場、リアルのコミュニケーションとは「違う」オンラインの場。

その「違う」場が、リアルとは違う場としての最善となるような場づくりをしたいな、と思う。
「違う」ということを、それによる戸惑いや負担を、感じるスペースがある場をつくりたい。


おわりに

このnoteを書いていたら、2日前に初のビデオ通話をしたYちゃんから着信があり(!)、二人のオンラインが始まった。

今日はどうなるのだろう、と興味津々で聞き耳を立てる私。
…2回目の今日は、モジモジと照れ合う時間も「ただ笑い合う」時間もなく、「Nちゃーん♡」「Aちゃーん(娘)♡」とテンション高く始まった(笑)。

そして、(私の知る限り)普段の二人の雰囲気だ。折り紙を折って見せ合ったり、部屋を暗くしてバカ笑いをしたりしている。じゃんけんや あっち向いてホイをして、「え?見えない!何出した?」とトラブル(笑)も ものともせず遊んでいる。

「違う」ということをそのまま感じ、それに素直に反応した2日前の体験。
それがあって始まる「オンラインコミュニケーション」は、素敵に育まれていくのかもしれない。



Title photo by pan xiaozhen on Unsplash



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?