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外山恒一謁見記

※サムネは外山氏ではなく、別人です。

ある日、いつものようにツイッターを見ていると、外山恒一氏が名古屋に来る旨のツイートを見かけた。



ちょうど私は仕事の休みを取っていたため、前々から興味のあった外山氏に直接お会いできる絶好の機会だと考え、参加したいと思った。私は、名古屋駅前の大衆居酒屋へ向かった。


外山恒一氏は、2007年に東京都知事選に出馬した経験もある政治活動家である。その政見放送はYouTubeのスタンダードナンバーとなり、今も「YouTubeの面白おじさん」として人気を博しているようだ。一方で、数々の著作を世に出し、思想を問わず若い学生を対象として「教養強化合宿」を開催して「外山界隈」を広げ続ける一面も持つ。近年はその活動が「美術」の文脈で評価されることもあるようだ。※1(ただし、外山氏は「ファシスト」を自称しており、彼の主張は既存の政治勢力とはかなり意見を異にしている。それにより彼と距離を取る人々が多いことも事実ではある。)


というわけで、外山恒一氏に会ってきた。ツイッターを見て来た人は名古屋では初めてではないかとのことであった。まず、私が持っている外山氏の著作『全共闘以後』と『対論 1968』にサインを貰った。優しく対応してくださり、有り難かった。そして、なごやトリエンナーレ(あいちトリエンナーレへのカウンターとして行われた「超芸術祭」)で一部界隈にはおなじみの自称室伏氏もいたので、ご挨拶をさせていただいた。


まずは、外山氏のバイタリティに驚いた。飲みの場で見せていただいた「同い年ノート」には、レーニン、スターリンなどからゆたぼん(確かに「少年革命家」ではあるが!)まで、国内外の有名人の生年が記されていた。SuchmosのYONSEやYOASOBIのAyaseなど、最近の音楽関係の人物の名前も書いてあったので、博覧強記ぶりに恐れおののいた。

また、執筆企画案も見せていただいた。猪瀬直樹氏が「物書きたるもの企画の20〜30本は用意しておくべきだ」と書いていたことから着想を得たという企画案ノートには、すでに記事になっているものだけでも、外山合宿のテキストとして使われている『マルクス主義入門※2』、スガ秀実や千坂恭二との対談など、興味をそそられる企画が書いてあり、胸が躍った。ぜひ今後も刺激的な執筆活動に邁進していただきたいと感じた。

私が「賢くて面白い人になりたいんですけど、危ないことはしたくないんですよね〜」とうっかり言ったところ、外山氏が「賢くて面白くあるためには、危ないこともしなくちゃいけないんだよね!」と仰っており、一本取られたと思ったと同時に、自分が「面白い」と思ってやってきたことは正直軽薄なのではないかと思ってしまった。ただ、外山氏や自称室伏氏のような「ホンモノ」には到底なれないなと感じた。また、途中から姿を見せた人の良さそうなおじさんが、海上宏美氏という名古屋圏で有名な批評家・元演出家の方※3であったと後で知って自分の非礼を恥じるなどした。私が有名人と一緒に写真に写っているところを海上氏に見せたところ、「本当に面白くなるためには、ここに写っているやつらを批判できるようにならないといけないぞ」と熱いエール(?)をいただいた。


終電の都合もあり、私は中座することとなったが、外山氏からも「こういった交流会や、今日の参加者がやっている読書会もあるので是非参加して欲しい」と言葉をいただいたので、(よくよく考えるとこの日は「素直にオルグされた」のではないかと思いつつも)この日できた繋がりを大切にしていきたいと思った。また、外山氏からも溢れ出る活力、そして知的好奇心を感じた。そして、自分もさらに(危ないかは措くが)賢くて面白い人になれるよう努めていきたいと感じた。


※1関連資料として下記の記事を挙げる。『 光と陰のアンソロジー この世界にただ独り立つ 平川恒太 山本草介 外山恒一』みなと美術館

熊本市現代美術館 CAMKブログ『「『段々降りてゆく』展における外山恒一展示検討の記録」を公開しました』

※2 外山氏によるマルクス主義入門の記事はこちらにある。

note『批評家・スガ秀実氏との対談シリーズ』

note『真のアナキズム入門(千坂恭二氏に訊く)もくじ』

※3 なお、海上氏のツイッターとnoteのアカウントはこちらである。

ツイッター

https://twitter.com/unakamihiromi?t=ugDQHmyJIXTF62YuExVovg&s=09

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