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東武宇都宮線 忖度無しレビュー

なすの地方鉄道ノートへようこそおいで下さいました。
今回は東武鉄道の宇都宮線のレビューをしていきます。
※辛口になる部分がありますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします。

東武鉄道は言わずと知れた大手私鉄です。伊勢崎線、日光線などが幹線に当たりますが宇都宮線は支線に当たり、特急や快速などの優等列車はありませんが、東武宇都宮駅には東武百貨店も隣接するなど不思議な立ち位置の路線です。

今回は、東武宇都宮線全区間の乗車と、東武宇都宮、江曽島、壬生、野州大塚、新栃木、栃木での下車。及び東武宇都宮~西川田付近の徒歩、自動車での散策を基にレビューしていきます。

レビューは「運行」「運賃・きっぷ」「駅」「車両」「その他」の5項目と、「5段階評価」を行う形でまとめていきます。


運行

運行本数

毎時2本をベースに朝夕4本。区間運転は無く東武宇都宮から新栃木または日光線の南栗橋まで運行します。新栃木止まりの場合は南栗橋方面の列車と対面乗り換えを行っています。優等列車はありませんが、2020年までは特急しもつけが浅草方面へアクセスしていました。

地方路線としては十分な運行本数なのですが、実際訪問した感覚ではやや少なく感じました。これは東武宇都宮駅が市の都市部に位置するにも関わらず、乗車客数が4000人弱程度しかないのが理由であり、駅周辺の都市部が非常に活発ですので倍近くの利用があってもよい気がします。

これは東武宇都宮線沿線の人口が少なく、宇都宮市の都市計画で西川田駅以南を人口を抑制している為だと思われます。

理想としては日中は毎時4本とし、半分を西川田駅折り返しとすることで、東武宇都宮駅と市街地の活性化を図れるのではないかと思いました。

新栃木駅 時刻表(なす撮影)
東武宇都宮駅 東武百貨店入口(なす撮影)
東武宇都宮線 乗車客数(なす作成)

LRT延伸の効果について

2023年8月26日より芳賀・宇都宮LRTの営業が開始されます。芳賀・高根沢工業団地から宇都宮駅東口の区間での営業となりますが、東武宇都宮駅を超えて、桜通り・十文字方面に延伸計画があります。

しかし計画のイメージ図では大通り沿いの「東武駅前」バス停付近がLRT停留所となる予定であり、東武宇都宮駅との乗り換えがやや不便になると思われます。

LRT開通により東武宇都宮線に与える影響は思ったより小さいのかもしれません。

東武駅前バス停(左の黒い屋根)から東武宇都宮駅(東武百貨店)までの距離感
バス停からホームまで約250m程度あります。
(Google ストリートビューより)

運賃・きっぷ

初乗りが160円。東武宇都宮から新栃木まで380円と流石大手私鉄ということもあり安いです。定期割引率も高く、もちろんICカードも対応しています。これは文句の付けようがありません。

東武鉄道として日光、鬼怒川方面への観光誘導をしたいので、宇都宮方面への企画切符は多くありませんが、6月15日の栃木県民の日を記念して宇都宮線1日乗車券が販売されます。

(参考)東武鉄道HP

https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/releases/316b23fc44658a92a4ce455e40081c96_190522.pdf

壬生駅 運賃表(なす撮影)

清潔感や駅の規模感は素晴らしいのが、よく見るとやや古い設備が目立つ。

例えば、バリアフリー対応の駅が少ない事が挙げられる。

例えば、江曽島、安塚、国谷、壬生、野州大塚等で車いすでの乗車が出来ない。例えば野州大塚のような2面2線の駅では駅舎の無い側にも一般道へ通じるスロープを設置するなど対策は可能な筈だ。無賃乗車が懸念されるならば跨線橋を廃して改札を上下で別にすればいい。

他にも駅の接近案内が無い駅も多く、聴力の弱い方やイヤホン等で周囲の音が聞こえにくい状態の方には危険だと思う。

また駅の動線が不便な駅が多いと感じた。宇都宮線の駅は地上駅かつ駅舎も地上にある駅が多い。この配置は駅舎のない反対側は駅を利用しにくい動線となってしまう。比較的土地にスペースがある駅が多いので、もったいないと感じた。

野州大塚駅 跨線橋(なす撮影)
壬生駅 地下道。かつては構内踏切だった様子。(なす撮影)
跨線橋を廃し、ホーム別改札とした例。(Wikipediaより)
壬生駅。右が駅舎。左奥にあるのが東西地下通路。
ホームから駅舎の反対側へ移るには地下道を2回通る必要がある。
(なす撮影)

車両

東武20400系4両編成リニューアル車で統一されており、車内外ともに大変綺麗で明るく快適な車両でした。

次駅案内として、英語対応の自動放送と、ドア上には液晶モニタが千鳥配置されていました。一部の関西大手私鉄幹線よりもグレードが高く、首都圏大手私鉄の底力を感じました。

安全性として外部に排障板、転落防止幌、内部もドアスペースに吊皮が配置されている等、最低限の設備は完備していました。

乗り心地も大手私鉄幹線と遜色なく、滑るような乗り心地でした。

車両に関しては大変素晴らしく、私は満点だと思います。

ただ、私は2017年頃にも東武宇都宮線を完乗していますが、当時の車両は8000系で乗り心地は比較的一般的だと感じました。保線力というよりも、20400系の足回りの良さなのかもしれません。

20400系(なす撮影)
ドア上液晶モニタ(なす撮影)
車内。いちご王国カラー車。通常は淡い赤色のシート(なす撮影)

その他

先述の通り、東武宇都宮駅は宇都宮市の中心部であり、東武百貨店が併設されています。近くにはオリオン通りをはじめとする商店街や歓楽街、栃木県庁や宇都宮市役所などの官公庁があり人の流れも大変活発です。

南宇都宮、江曽島、西川田は密集住宅地となっており、駅直結ではないものの駅周辺にはアピタ宇都宮店などの日用品を扱う商業施設も多くあります。

職場・商業・住宅地が沿線に揃っており、自動車が無くても鉄道だけで可能というのは大手私鉄とは言え地方鉄道としては高く評価すべきだと思います。

5段階評価

☆☆☆☆★ 星4つ

素晴らしい!

まとめ

いかがでしょうか。

車両の項目でも触れましたが、乗ってみると大変乗り心地が良い路線です。運行も現状では大変努力されていると思います。沿線も素晴らしく鉄道のみで生活ができる環境が整っています。

しかし、駅の構造で大きく評価を下げました。合理的ではない駅構造や、接近案内などの乗客への安全設備がやや不足していたこと。そして多くの駅がバリアフリー非対応だったことが挙げられます。

駅前商業施設、沿線人口の割に、東武宇都宮駅の乗車客数が振るわないのは、中間駅の使いずらさや、駅前開発不足によるものかもしれません。

訪問時は開業前でしたが、執筆時点で宇都宮LRTが開業し、まずまずの滑り出しを見せているそうです。新線開業で盛り上がっている東側とは対照的にやや陰のある西側ですが、ポテンシャルは間違いなくありますので、今後の宇都宮市、東武宇都宮線に注目したいところです。

是非、目新しいLRTを見るついでに。また江曽島駅から徒歩圏にある「餃子みんみん」を食べるついでに、東武宇都宮線の独特のエッセンスを楽しんでみてください。

開業直前の習熟試運転中の宇都宮LRT(なす撮影)

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