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免許取ったら人生変わんの?

今日は佐野で運転した。
今月はアメリカでも運転した。
バークレーからサンフランシスコへ、あの大きな橋を渡り、混み合った街中にあるSFJAZZの近くの立体パーキングを目指して。

2020年に免許を取り、2021年始めに中古の車を買った。
地元の佐野でしか運転したことないし、佐野には立体駐車場なんて、あるかもしれないけど私は駐車場と言ったら田んぼを潰して作ったスーパーのだだっ広い駐車場の誰も停めないガラ空き端っこにしか停めたことがない。
もちろん前から入れる。
(そしてスーパーまで延々歩くのだ)



サンフランシスコに行くと決まったあと、
共に旅するマーラに
「熊田さんて免許持ってるんでしょ、国際免許取っておいてよ」と言われて

「え、冗談でしょ。向こうで運転するつもり?」
「うん」
「したことあるの?」
「ない」
「は?」
「東京ではたまにする。まあなんとかなるでしょ、」
「マーラのお父様、アメリカで日々運転してるんだよね?」
「うん」
「マーラも一度くらい運転したことないの?」
「しない。いつもおとんが運転するか、Uberタクシー使うし」
「え、じゃあ今回もタクシーとかバス使えば良くない?」
「バスも治安が心配なんだよね。Uberよりレンタカーの方が結局安いし。」
「待って、私、田舎の佐野でしか運転したことないよ。佐野でもオロオロしながら運転してるのにアメリカで運転なんて!」
「まあ身分証明書にも使えて便利だから、取っておいてよ」

国際免許取得に実技試験は不要、書類を書いて2千数百円払えば10分で取れるのだと神田の免許センターのカウンターで知った。


 それで、アメリカのフリーウェイを左ハンドルで運転した。


両親はいまだに驚いてるし私も驚いてる。
よくマーラを命の危険に晒さず(晒したが)生きて帰ってきたもんだ。


 私はずっと運転にも車にも全く興味がなくて(メカ一才に興味がないのだ。オーディオなら少し。)出来れば免許なんて一生取りたくなかった。けど実家が地方にある限りはいつか取らねばならない、嫌でも取らねばならない、いつか親の足にならねばならない日がくるのだから。
ずっとそう思っていて、でも先延ばしにし続けて2020年。
運動機能も反射神経もすっかり衰えた中年になってから、コロナ混乱期に無理矢理免許合宿をねじ込んだ。
今しかない、今しか時間作れないし今やらなかったらきっと50過ぎてから取ることになる。
それはあまりに危険で憂鬱すぎる。

  申し込みはしたものの、合宿が億劫でたまらず
(全く興味のないことを2週間も勉強して試験に受からねばならないなんて!)うらぶれた気持ちでいた時にたまたまマツコ・デラックスさんが番組で

「免許取ると人生変わるわよ」

と言ってるのを観た。
私はマツコさんが大好きだ。
マツコさんがこんなタイミングでこんな事を言うなんて、これが私への励ましでなくてなんだろうか。
マツコさんが言うなら本当に違いない、
免許を取ったら人生が変わるんだ。

覚悟を決めて参加した山形の教習所での10代の子達との2週間の合宿はまるで留学。
素晴らしい体験だった。
(後に国立音楽院に入学する事を決めた時、インスタを見ていてくれた友人が「あの合宿を経験してるんだからもう何があっても大丈夫」と言ってくれたほどの異文化体験だった)

熊田千穂インスタ 
#山形教習所日記🍒 
のタグで合宿の日々を記録しています。


 今も運転するたびマツコさんの言葉を思い出す。

「免許取ったら人生変わるわよ」


何にも変わんねえなと思いながらハンドルを握り、田舎道で後ろからぐんぐん追い抜かれる。


 マツコさんはおそらく運転が好きで、深夜の首都高を目的も決めずに走ったり、東北道を夜通し走って海を見に行ったり、そういうことで人生に起きる何かに折り合いを付けたことが何度もあるのじゃないかな。
数ヶ月に一回程度のペースで栃木の田舎道をよろよろ走ってる私にはとてもじゃないけど人生変わるようなドラマなんて起きない。


 と、思っていたけど。
運転してくれるのが当たり前だった母や父を助手席に乗せて運転するたびに(免許取ってよかったな)って思うし、マーラのゴリ押しパワーのおかげで国際免許取ってカリフォルニア、サンフランシスコを運転できてしまった。
6車線のフリーウェイ。

まあ、ドラマはそこそこあるのだ。
そこそこすごい事、起きてるのかもしれない。


でもさあ、人生変わるわよってほどか?
そこまでではなくない?
これからなのかな。

免許を取って3年目の夏が来る。
栃木の田舎道に少し慣れてきたところでアメリカ大都会のフリーウェイを経験したからには
もうちょっと期待したい。

「免許取ったらさ、人生変わるんだわマジで」

言いたい。



 ところで私は6/10日から1週間のアメリカ旅行の始まる前、6/1に佐野で自損事故を起こしている。カーブしながら踏切に入ろうとしてサイドの壁にぶつけ後方左ドアを凹ませてしまった。
旅行前に厄を落とさせてくれたんだとな内心ホッとしたのでした。
帰国し、帰省して、知人にアドバイスを貰いながら車の修理依頼をつつがなく終えて東京に戻る電車の中でこれを書いています。

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