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子育てにおける絶滅寸前の関西弁について

 ワタシの父母、つまり子どもたちの祖父母は関西人です。

 とはいえ、結婚後すぐに関東へ転勤になったのが40年以上前です。兄とワタシを育て上げ、今も同じ家に暮らしているので、居住年月はもはや関東の方が長いのですが、やはり言葉は関西弁メイン。孫たちに接するときに、独特の関西弁が出てきます。
 現地(大阪)に住む従姉妹いわく、「もう使えへんよ」というクラシックな関西弁を、書き留めておこうと思います。


☆「おっちんする」

 お座りする、という意味。
 使用例=「じいのお膝におっちんしときなさい」「じょうずにおっちんできたねえ」「はい、おっちん」など

 大人が座ることを「おっちんする」とは言わないらしく、あくまで幼児への指示語みたいです。
 標準語だと、「たったする(立つ)」「あんよする(歩く)」はよく使いますが、それのお座りバージョンという感じです。
 
 ただ単純に「座る」という意味だけでなく、「歩き回らずに、いい子にする」というニュアンスも微妙に含まれるような。

 1歳半のムスメは語感でなんとなく「すわるんだな」と分かるみたいで、じいじの指示に従っているのがほほえましいです。
 フツウの大人には、通じない言葉なんだけどね笑。


☆「まんまんちゃん、あん」

 「なむあみだぶつ」の幼児バージョンです。
 使用例=「まんまんちゃん、あんしておいで」「ハイ、まんまんちゃん、あん」など。

 宗派を問わず、お仏壇や神棚の前で手を合わせてお祈りすることを言うみたいです。
 ワタシも、夏休みに大阪の祖父母の家に遊びに行くと、まずは「まんまんちゃん、あん、して来なさい」と言われて仏間へ直行。いとこ達と一緒にお仏壇の前で手を合わせる習慣になっていました。
 記憶があるから、小学生になってからも使っていたってことだなあ。

 千葉出身の夫くんは、同じようなときに子どもたちに「ナムナムするよ」と声がけしています。
 うん、「ナムナムする」と同じ意味ですね。
 

☆「よろしゅうおあがり」

 これは、標準語訳がやや難しくて・・・おそらく意味としては、「よく食べましたね」。ニュアンスは違いますが、使用パターンは「お粗末様でした」に似ています。

 ご飯を食べ終わったとき、孫が「ごちそうさま!」と言うと、祖母が「はい、よろしゅうおあがり」と答えてくれるルールになっていました。
 「ただいま」&「おかえり」と同じ感じで、「ごちそうさま」&「よろしゅうおあがり」がセットな訳です。
 会話というより、挨拶の一種のような感じ。

 レアな関西弁らしく、母いわく「おばあちゃん以外の人が使っているのは見たことがない」そうです。

 でも、この言葉、便利なんですよね。

 「ごちそうさま!」に対して作り手が返事をするのは、いい習慣だと思います。
 でも「お粗末様でした」はヘリくだりしてイヤだし、せいぜい「はい、ごちそうさまね」と返すくらいでしょうか。

 「ごちそうさま」&「よろしゅうおあがり」。
 言葉の意味も音の感じも優しいので、ワタシは好きです。しかし復活は・・・しないだろうなあ。

* * * * * *

 子ども達が大きくなったときに、「あの言葉、よそのおじいちゃんおばあちゃんは言わないのか!知らなかった!」なんて思うかな?
 じい&ばあと過ごす温かい時間の一部として、記憶に残ってくれればうれしいなあ。

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