ラーメンを構成する3要素
ラーメンを構成するファクターを考えてみよう
店主どうしでラーメンについて話していると、よく話題になることがあります。それが「タレ・スープ・油のどれをメインにしているか」というテーマです。
いろんな店主と話して違いに驚くんですが、これがまた、ホントに人それぞれ。その店主のラーメン観やバックボーン、原体験が見えてきて、すごく面白い。
たとえば、つけ麺屋さんはスープを重視したラーメンづくりをしていることが多いように思いますね。もちろん、つけ麺屋だけに「麺」を食べさせるわけですが、『中華蕎麦 とみ田』『麺屋一燈』『つけめん 六厘舎』などなど、有名店を挙げてみても、濃厚魚介のスープに力を入れ、大事にしているお店が多いという印象があります。スープが濃厚だから、タレによる差がそこまで際立たないことがあるのかもしれませんが、スープこそつけ麺の命なのかな、と僕は考えています。
一方、醤油ラーメンなどの清湯系だとどうでしょうか。これがタレ重視派、香味油など油重視派の2つに分かれるんですね。今の清湯系でスポットが当たっているのは、何といっても「油」です。『ラァメン家 69'N'ROLL ONE』が見せた鶏油使いが代表的ですが、香味油使いの巧さで注目された『麺処ほん田』。そしてもちろん、香味油といえば、蝦油の「あっさり」「こってり」で香味油の存在を世に知らしめた『麺屋武蔵』の存在も忘れちゃいけません。
老舗でもそう。『春木屋』は香味油じゃないですが、スープ表面の油膜が味のポイントになっています。同じく老舗の『永福町大勝軒』ならラード。このように、新興から老舗まで、油で食べさせる清湯系を挙げたらきりがありません。だけど、これらの名店は油がポイントのお店。タレについては、そんなに言及されることがないと思いませんか? つけ麺屋でもそうです。油、タレについてはスープほど語られません。
もちろん、すべてのパーツにこだわり、味を常に向上させ続けるのがラーメン店主。一つに集中して他をおざなりにするということじゃありません。作っていく上で、自然と「何を重視するか」が違ってくるということ。これがラーメンの奥深さ、面白さだと僕は思うんです。
ラーメンを食べた人は、よく言いますよね。
「ここは麺がいいな!」
「スープで食べさせる店だよね」
もちろん、それでいいんです。だけど、みんな美味しいと言っているスープは、「スープ」という単体じゃないんですよ。その先には
タレ・スープ・油
がある。ラーメンの「スープ」は、この3つの複合技で構成されていることを意識すると、また違ってくる。
たとえば、僕がこの前食べた『オランダ軒』。新潟長岡生姜醤油ラーメンで、生姜がすっきりと効いて、チャーシューの肉感ともマッチしている。タレはおそらく、チャーシューの煮汁などを主体にしたシンプルなものでしょう。店主は「スープ」に軸足を置いています。生姜を効かせたスープ視点で作っているラーメンだと感じましたね。
ラーメン好きだったら、丼の中の「スープ」を分解してみて、この店はタレに力を入れているのか? スープにこだわっているのか? それとも油を追求しているのか? そんな観点で見てもらったら、より面白く、楽しいラーメンの味わい方が見えてくるかもしれません。
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