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木は傾いた方に倒れる 退職エントリ②

「木は傾いた方に倒れる」という言葉をどこかで見聞きした覚えがあって、どこで読んだのか思い出せず、フレーズも合っているのかわからないのだけれど、好きな考え方。人間の心の話として。

「一回けちがついたらもうだめ」というような解釈をしている。

誰かが、心にともした明りはそう簡単には消えない。

「退職したい」と心にともったら、実行を試みて失敗したとしても最後にはそうなっている。辞めている。

私は、そんなふうに考える。

先週、退職を決意する出来事があった。

それから一週間。週末は隣県の実家に帰省し、両親に話せる範囲で状況を伝えた。私は、生まれ育った実家も自営業だったのでそこに生まれた後継ぎ長男(父)その配偶者(母)と、先代(父の両親)とのあれこれを見て育った。

母は、「そういう舅姑」がいることを身をもって経験し、心から理解しているので、ああ…。とためいきをついた。父は、どこかで聞いた話だな、と自分の過去によく似た話に辛そうな顔をした。

でもまあ、時代が違うよね。両親は絞り出すようにそう言うと、私に頑張ってとも頑張るなとも言わなかった。言えなかったのだと思う。

嫌いな人といるときは涙なんか出ないのに、自分の両親と一緒にいる間は、ずっと泣きそうだった。

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そういう週末を過ごし出勤した火曜日(3/22)

再び、舅が夫に大声を上げた。私は迷わず立ち上がって、舅と夫のあいだでおろおろしている姑に、黙って退職届を差し出した。三月末に日付を入れたものだ。夫と一緒に、とかそういうややこしいことは無視することにした。私は私の人生として、もうこれ以上ここにいるのは嫌だと判断がついた。

辞めさせていただきます。

その途端、矛先が私に向いた。血相を変えた舅は目の周りを赤くして吊り上がらせ、正気ではない顔つきで「だいたいあんたが全部悪いんだ」と大声を放ちながら私に詰め寄ってきた。

退職しようとする私に、途中で投げ出すあんたのような者はどこに行っても投げ出す、だの。息子は自分たちと一緒にいたいのにあんたがわしらを嫌うからこういうおかしなことになる、だの。会社のために全てを我慢するのがあんたの人生だ、だの。うわごとのようにその三点を繰り返す。

私は全てに反論し、一切負けずに言い返した。

私があなたを嫌うのは、息子に対するパワハラが原因だ。自分の夫を罵るような舅と一緒にいたいわけがない、嫌われるようなことをしているのはそちらだ。

投げ出すという決めつけは言いすぎだから取消して謝罪してほしい。

会社のために全てを我慢なんてするわけがない。いつの時代の話だ。

その返答はこうだった。

「自分は正しい助言をしてやっているのでそれをどう受け止めるかの違いであって自分は言いすぎていないし謝る必要はない。自分はそういう生き方でここまで成功してきたので、これまで人に謝るようなことをしたことは一度もない」

私に謝らない、という確認を何度も取ったのはわざとだった。
姑が暴言を全て側で聞いていたので、謝らないのなら退職は考え直さない、という姿勢で通すために、何度も舅に謝らないんですね、ときき、謝らない、と自信たっぷりに言い切るシーンを作った。

ということです、のでこれを。姑に退職届を受け取らせた。
あちらが謝らないのなら考え直すことはありません。三月いっぱいは出勤しますので、それまでは頑張ります、いろいろ至らない点ばかりで申し訳ありませんでした、とキッチリ挨拶をした。

この姑については後日人物の詳細を描写してみたいが、自分がよければそれでいい人。私へのあれこれよりも、それでは自分が困る、ということで頭がいっぱい。この問題が起こってから彼女が口から発するのは、そんな、困るわ、の一点。自分がね。自分の夫が他人に失礼なことを言って申し訳ないとか恥ずかしいとか、そういう気持ちはゼロの人です。

というわけで、三月末での退職届を提出し、一歩前進。

ところがその日の帰りがけ。

もう一波乱あったので次回に続く。

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