ラスト10デイズ

入社日まで残り十日。三月中旬に起こった、舅によるパワハラからの義実家自営離脱劇、その後は四月、五月とジェットコースターに乗っているような怒涛の日々でしたが最後は心穏やかに新しい日々を迎える準備をしたい。

6/11 土曜日は午後から図書館ボランティア活動。予定がある、というだけで少し気楽。何もない一日の気分の落ち込みはケアが大変。帰宅後、夫を街まで車でお送り。

6/12 友人の誕生日。数年ぶりに連絡してみた。野菜の直売所などをめぐり、給油もして帰宅。日曜日って気楽に過ごせる。

6/13  雨の月曜日。通勤の練習。これから雨天の日はバス、晴天であれば自転車で通うことにする。雨天時のバスの混雑具合とか。
思ったよりスムーズで、もしかしたらもう一本遅くてもいいかもしれないと思った。バス停の真向かいに見える新しい勤務先。降車してから通りを挟んだ反対側からそれをしばらく見つめる。そのビルに入っていく人たちを眺めていたら、私ちゃんとやっていけるんだろうかと心細くなってしまった。
帰りは徒歩。40分かけて歩き、朝マックのマフィンを買って帰った。

6/14 昨夜は遅くまで夫と一緒に「顔」という藤山直美さん主演の映画を観てた。ロケ地はふるさと別府。いろいろじんとくる。
今日は昨日より一本遅いバスに乗って行ってみようとしてたけど起きられず断念、明日にする。

6/15 バスリベンジ。一昨日よりも15分遅い、一本あとの便にのる。ところが、渋滞がひどくてちっとも進まない。これでは、これくらい混んだら就業時間に間に合わない。それがわかったのがとてもよかったと納得。
そのまま駅まで歩き、ショッピングモールのシネマで「はい、泳げません」を鑑賞。長谷川博己さんの大ファン。スクリーンであの尊いお顔やスタイルを眺めていられるなんてとても幸福な時間だった。
レインブーツを新調。Dannerのサイドゴア。色はエスプレッソ(名前かっこいい)。服も靴も小物も、メンズライクなものが好きです。

6/16 今日は自転車通勤時の所要時間をはかってみた。普通に走って二十分あればじゅうぶん到着できる。
午後から図書館でビデオ鑑賞。NHKが出版している「映像でつづる昭和の記録」シリーズ。先日から時間のある日に行って一本ずつ見ている。今日は、昭和23~24年、戦後の復興の様子。全32巻あるけど、まだ11巻くらい。

6/17 朝からひとりコメダコーヒーでモーニング。今日が今回の無職ピリオド最後の平日。週末を過ごせば、次のコーナー。田辺聖子さんのエッセイ集を読みながら一時間ほど過ごした。

6/18 近所の中華やさんでランチを食べて、午後からは図書館ボランティア活動へ。排架作業に時間がかかった。

6/19 朝からイカと大根の煮物、とりハムの仕込みなど作り置きの準備。
残り物で夫と遅めの朝食をすませ、午後から海水浴場へ散歩。帰りにうどん屋によりおやつがわりのうどん。夕方、レインブーツを買ってから初の雨が降った。試し歩きをしたくて公民館に本を返しにいった。わざと水たまりを歩いたりして。楽しい。

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最後の十日間は穏やかに過ぎていった。約三か月続いた落ち着かない日々から自分が一体何を学んだのかは、今はまだわからない。無用な苦しみを押し付けられたようで不快になりその気持ちがさらなる不安を呼び、不安定に過ごした長い時間があった。どうしようもない落ち込みに対処できず、すべてをあきらめて消えてしまいたいと思いつめた日もたくさんあった。

それでも、意志をもって嫌なものは嫌だといい、その環境から離脱したことが、自分のためにならないなんてことは絶対にない、と信じる気持ちが最後の最後に自分を支えていた。あのまま舅のパワハラを我慢し続けていたら、と思うと心底ゾッとするから、進行方向は間違っていないのだと信じた。

明日から、新しい職場での日々が始まる。何があっても、どうなっても、前を向いて自信をもって、ゆたかな時間を過ごしていきたい。

義実家自営では、あまりにもむなしい時間を過ごしすぎた。息苦しすぎてやりきれず、自分の心や状態に一番当てはまると感じた言葉は「幽閉」とか「閉塞感」だった。ためいきをつき、やりきれなくてしょっちゅう一人で泣いてた。
楽しくなかった。やりがいはなかった。あの場所にいて、自分の心は一切喜ばなかった。それでも、そんな中で自分なりに必死にたたかったと思える。だから、あの日々も必ず何かの実りを連れてきてくれる。それに気が付くためにも、新しい場所に行くことが必要。

苦しい経験から得ることができる精神的な実りには時差がある。
「今はわからない」それでもいい。いつかわかるかもしれない。

三か月、おつかれさん。明日からまた、次の物語を始めよう。



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