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原田のこと

私が初めて原田に会ったのは、
20年前の5月。

「4月に産まれた子猫が1匹だけいるんだけど
引き取り手がなかったら、もうヒューメインソサエティに
連れて行こうと思ってるの」との電話を受けて

「じゃ、見に行く」と、私が向かったのは、
親友ヒロヨの家。

ヒロヨがその頃住んでいたオアフ島の西部、
エヴァにあるビーチフロントの家の納屋に
まだ産まれて2週間ほどの子猫はいた。

目だってちゃんと見えているのかどうかわからない
手のひらサイズのミニチュアのくせに
子猫は私に向かって「フーーッ」と、

声にならない声で必死に威嚇していた。

かなり強気のナマイキな子猫だった。

そして実を言うと私は、子供の頃から猫が苦手で
どちらかというと犬派だった。

猫は引っ掻いたりかみついたり家中ガリガリ爪を研いだりして
しかも気の向いた時にしか人になつかない、という先入観があり、
私的にはそんなペットは勘弁してほしいと思っていた。

でも、子猫ってかわいい。
ちっぽけで、フニャフニャで、たまらなくかわいい。

創造主は、どんな動物の赤ちゃんも、
できる限り危害を加えられないように、「かわいい~~❤️」と
面倒みてもらえるように、小さく愛らしく創ったのだろう。

そんな創造主のトリックにまんまと引っかかった私は、
「ノミとかついていたらゼッタイにイヤだから、
キレイに洗ってくれたら連れて帰るわ」と、
エラソーにヒロヨに言った。

猫好きのヒロヨはその小さな猫を洗面所に連れて行き
ノミを退治すべく、温水で丁寧に洗い始めた。

私とアレコレおしゃべりしながら洗っていたヒロヨは
途中で何を洗っているのか忘れてしまい、
ハっと気づいたら、子猫はちょっとグッタリしていた。

これならノミだってもう全滅したはずだ。

ドライヤーで乾かした子猫は、フワフワになって
ますますかわいくなって、
私はやっぱりこの子を連れて帰ろうと決めた。

初めて飼う猫。

あいかわらず「猫は気まぐれで他人行儀」という
いわれのない偏見を持っていた私は、
まだ何もされてもいないうちから
「そっちがその気なら、こっちだって他人行儀に暮らすわ」と
その子猫に「原田」という名前をつけた。

ペット別姓。ちなみに原田というのはヒロヨの旧姓だ。

原田はちゃんとみんなに愛されて育ち、
今月20歳になった。

おめでとう、原田。

ブログのおかげで原田のファンまでできたので、
ほぼ毎日更新中のジュニマネ日記には、
「今日の原田」のコーナーも作り、
私は毎日原田の写真を撮っている。

私以上に猫が苦手で、はじめは原田に威嚇され続けていたジュニアも、
長年一緒に暮らすうちに、今では原田に一番愛される人間に昇格した。

だけどまだ「犬が一番好き」というジュニアは
「原田は他の人には猫かもしれないけど
僕にとってはかわいい犬なんだ!」と
ワケのわからないコトを言って、
猫好きになってしまったことをカミングアウトできずにいる。

(4/10/10に書き、5/5/20にアメブロから移行してアップデート)

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