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18歳で山小屋にバイトに行って、人生が少しだけ豊かになった話

私は高校時代、山岳部に所属していた。
“山岳部”という部活をご存知ない方もいるかもしれないが、簡単に言うとチームで山を登る部活だ。競技登山の大会は勝敗のつけ方がとてもユニークで面白いので、これについてもまたいつか書きたいと思っている。

大学1年生の夏休み、南アルプス北岳のとある山小屋でバイトを募集しているから行かないか?と叔父から声がかかった。叔父は市の職員として芦安山岳館に勤務しており、人材不足の山小屋にピッタリだと思って誘ってくれたらしい。

それまでバイトというものをしたことがなかったが、当時18歳だった私は“やるかやらないか迷ったら、とりあえずやってみる”という謎の信念を持っていたため、不安はあったがやることにした。(今はじっくり考えてやらないという選択をすることもある)


山小屋に行ってみてまず感じたことは、“いろんな人がいるんだな”ということ。出会った人たちのことを思い返してみると、みなそれぞれにバックグラウンドがあり、とても個性的だった。

・別の小屋で80キロの歩荷業務に耐えられず、今の小屋に来たおじさん。
・高校の山岳部の大先輩だとのちのち判明した50代のお姉さん。
・タクシー運転手なのに交通違反で減点を重ね、免許停止になったため下界で働けなくなり山小屋に来たおじさん。
・大学を卒業して実家のお寺を継ぐことが決まっているお兄さん。
・大学教員の旦那さんを下界に残して山小屋にバイトに来ていたお姉さん。
・オーナーご夫妻がヒマラヤ登山をした際にガイドしたというご縁で来日したネパール人。(年齢不詳)
・大学では写真を専攻しており、山小屋でお金を貯めて1か月ほどインドに写真を撮りに行きたいと言っていたお姉さん。
・夏は山小屋でがっつり稼ぎ、冬は海外の山にアタックするという生活を毎年繰り返すお兄さん。
・ものすごくお金持ちで高貴なインド人。(実家は地球の歩き方に乗っている大きな寺院だった)
・ボブ(アメリカ人)

などなど、少し書いただけでもいろんな人いたな...と思えるバラエティ豊かな方々に囲まれ、私の山小屋生活はとても充実したものだった。(一緒に働いた人については書こうと思えばもっともっと書ける)
共同生活なのでストレスを感じることもあったとは思うが、下山するたびにまた行きたいなと思っていた。

結局大学1年生のときに初めて山小屋でバイトをして以来、同じ山小屋で大学4年間は毎年お世話になった。さらに協力隊に行く直前の2016年と昨年2019年にも小屋開け作業のみだが手伝わせていただいた。

毎年山小屋に行って思うことは、相も変わらず“いろんな人がいるんだな”ということだ。
みんな本当に自由で柔軟で、こうでなければいけない、こうであるべきだといった決めつけは一切なく、自分の気持ちに正直に生きているように見える。

18歳で山小屋にバイトに行き、普段出会えないような人たちに出会ったことで、今まで自分のなかにあった固定観念が崩れていった。

山小屋での人との出会いは、いつも私の人生を少しだけ豊かにしてくれる。

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