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免許をとった。


ずっと東京で暮らしてきて、
なかなか免許を取るタイミングがなかったが
長野との二拠点生活が始まり
ようやく車の免許をとった。

初めての教習では緊張のあまり
「本当に動かしていいんですか?
アクセル踏みますよ?本当に踏みますよ?」と
しつこいくらいに何度も聞き、
教官は呆れた顔をしていた。

何でもかんでも疑問を投げかけ
喋り続けていた私のことを
教官たちは皆あっという間に覚えたらしい。


鉄の塊を自分のコントロール下で
動かしていると思うと
緊張と興奮で訳のわからない感情になった。
教習所に通い始めた頃は、家に帰るとぐったり。

改めて世のドライバーたちを心から尊敬する。

免許センターでの学科試験は
まるで受験会場へ行くような気持ちだった。

落ちたらまた受ければいっか。と思いつつ
いざ発表の瞬間になると
なぜあんなにもドキドキするのだろう。


72番。

指定された机の右端に書かれた番号が
モニターに表示され、
私たちはそれを無言で見た。

誰かに報告したいけど
「たかが車の免許じゃん」と
思われてしまったら恥ずかしいから
躊躇してしまう。
(でも数人には免許の写真を送りつけた)

試験に合格したら
そこからはスタッフに言われるがままに
流れるように交付料を支払い、写真を撮られる。

軽いメイク直しくらいはしたかった。


免許が交付された。

ついに私も車社会に仲間入りをした。

免許をとってからは、
教習所から卒業祝いにもらった
初心者マークをしっかりと前後に掲げて
毎日車を運転している。

「そういえば初めて何かをやるときって
こんな感じだったかも」と
なんだか懐かしい感情と再会することができた。

写真は助手席に座っていた頃のわたし。


武藤千春

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Twitter : @iamchiharumuto

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