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【アークナイツ】 モンスターハンターコラボ「紅炎遣らう落葉」で出てきた日本イメージの要素を挙げる

もう終わってしまいましたが、アークナイツのモンスターハンターコラボとっても良かったですね!

わたし自身はモンスターハンターをまったく触れてこなかった人なのでコラボ要素については語れないのですが、今回の舞台がアークナイツの極東という場所で日本をモチーフにしていると言われているので、今回のイベント「紅炎遣らう落葉」の中で見られた日本と関係ありそうな要素を挙げてみようと思います。

開発が中国(上海)のゲームな中、日本のことをここまでしっかり調べてくれたんだなぁとうれしくなるものが多かったです!

 ※注意※
筆者が個人的に気づいたものをまとめているため、実際は異なる可能性があります。ご了承の上でご覧ください。



1.紅葉したモミジと合掌造り

イベントに入ると表示されるページには、特徴的な赤い葉が舞い散っている様子が見て取れます。

画像右側のリオレウスの翼にかかっている大きめの葉を見ると分かりやすいですが、その形とはっきり赤く紅葉している様子から、日本にも自生し庭木などにも用いられるイロハモミジまたはヤマモミジの紅葉した葉の可能性が高いです。


また、以下のイベントPVの中で上から降ってくる葉も5つに裂けた形で赤く染まっており、同様の葉をイメージしていると思われます。


一方、こちらは先のPVにも映るイベントストーリー内の背景になります。

上の画像の左側に立つ建物は、世界遺産として登録されている「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の合掌造りにそっくりです。


また、下は旅行関係会社のサイトですが、秋の白川郷の写真が多く載っています。今回の景色の参考にしていそうな風景を多く見ることができます。


なお、今回はいろいろと調べたところ、岐阜県白川村の白川郷を中心に考えると説明しやすい部分があったのでこのあとも何度か登場します。ご了承ください。


2.ストーリーのステージ選択背景の色彩は日本の伝統色?

今回のストーリーステージの選択画面の背景は、カラフルでありながら、どこか懐かしい落ち着いた色合いでした。

これらの色彩は、日本の伝統色をイメージしているのかもしれません。
参考に、こちらの日本の伝統色 和色大辞典では色見本と色の名前を一覧で見ることができます。

これだけでは気のせいと思う方もいそうなので、合掌造り(風の建物)を、持っていた日本の伝統色の名前のついた色の、和紙の折り紙で作ってみます。

家に偶然あった日本の伝統色の和紙折り紙

30色の中から建物に似た色を3枚使います。左下からぞうげ(象牙)、くるみ(胡桃)、こげちゃ(こげ茶)。(これらの名前は先ほどの辞典のサイトにも載っています。)

紙を切って、できたのがこちら。

(ちなみに後ろに置いた折り紙の色は左上かられんが(煉瓦)、やまぶき(山吹)、白茶(しらちゃ))

持ち合わせのもので作ったのと写真で明るさの影響で色味は多少異なりますが、かなり似た風合いではないでしょうか。

3.郷土料理に寿司がある

アイルーが毎日提供してくれる料理を見てほっこりした方も多いのではないでしょうか?
5つのメニューのうち一番左にあるあったか郷土料理セットはどう見てもお寿司(江戸前寿司)があります。そのほかに右側の説明の文章にはキノコと豆腐のお味噌汁、刺身も。揚げ物や焼き物といった表現も日本料理に出てくるものです。
とても美味しそうで、見るたびにおなかが空いていました。


4.男の子が持っているボール状のものは鞠(まり)?

ヤトウとノイルホーンが露華村にやってきたときに出会った男の子は、手にボール状の物を持っていました。

これをよく見ると、5枚の花弁を持つ花の形が組み合わされているように見えます。

すこしサイズは違いますが、おしゃれなデザインからこれは鞠(まり)をモチーフにしたのではないかと思います。

工芸品として近年作られている鞠の中には、幾何学模様で花に見えるようなデザインもあります。


5.囲炉裏のある木造の家

村長などの家の内部に使われていた背景は、広い日本家屋を思い起こさせます。基本的な素材は木材に見えるものが使われており、部屋の真ん中には囲炉裏(いろり)、その周りには縦横のサイズ感や表面の模様から判断するに畳のようなものが敷き詰められています。部屋を仕切る扉は襖(ふすま)と思われ、障子(しょうじ)のような白くて薄く外が透けた素材(特に左側が分かりやすい)が使われています。


6.日本は火山大国

上の背景絵を見てさすがに日本を思い起こすことはないと思いますが、洞窟内にマグマのようなもの流れる様子が見られ、ストーリー内ではリオレウスが来る前からこのような状態だったと考えられます。
このような様子は、日本は100を越える活火山が存在し、世界有数の火山大国であることを反映していそうです。

なお、白川村にある白山(はくさん)は活火山であることが関係しているかもしれません。


7.ある社会性を持つ肉食動物の絶滅と草食動物の跋扈

ストーリー内では7年前に坑道内から絶滅させられたという鎧爪獣(がいそうじゅう)。上記の中には大型の肉食系の生き物という言葉があります。

オトモアイルーは草食生物が増えすぎていると発言しており、肉食の生物である鎧爪獣がいなくなったことにより露華村周辺の生態系が崩れているようです。

日本国内では、すでに絶滅した山の捕食者にニホンオオカミがいます。こちらも鎧爪獣と同じく社会性が強く、群れで行動していました。
ニホンオオカミの絶滅の影響もあり、山のシカやイノシシなどの草食動物が増えすぎて現在は農村の田畑を中心に大きな被害が出ているといわれています。


8.坑道と病気 神岡鉱山とイタイイタイ病

今回の話では、坑道内にある源石の採掘が、村の人の源石病やストーリー終盤にやって来た天災の原因となっていました。
白川郷の近くでは、被害発生場所は異なりますが四大公害の1つとされるイタイイタイ病が、岐阜県飛騨市(白川村のとなりに位置する)にある神岡鉱山の採掘が原因で、川の水に溶けて流れ出たカドミウムによって引き起こされました。

カドミウムは重金属で、体内に蓄積されると腎臓機能の低下や骨がもろくなるなどの被害があり、ひどい場合には全身の骨が折れてひどい痛みの中寝たきりになるなどして亡くなった方もいる病です。

重金属は体内に吸収されると体外へ排出される量は非常に少ないなど、症状と合わせてなんとなく源石病に似た部分もあるように思います。



9.天災時の背景の火柱は火災旋風?

天災がやってきてしまった時の村の背景には、炎の竜巻のようなものが3つほど見えており、作中では火柱と表現されていました。

このような現象は現実では火災旋風と呼ばれているものと思われます。

これは日本で特に起こりやすいというわけではありませんが、ちょうど100年前の1923年に起きた関東大震災では地震の揺れ自体よりも火災によって亡くなったり被害を受けた人数が多いとされており、その中でも火災旋風での被害はひどく非常に恐ろしいものでした。

※以下の動画では関東大震災の火災旋風について説明や小規模の再現があるので、気になる方はご覧ください。
(一部で遺体の映像などがあるのでご注意ください)



10.村の未来 カミオカンデ

神岡鉱山の排水はイタイイタイ病を引き起こし、被害は大きなものでした。しかし、1972年からカドミウムの流出の対策をした上でその後も鉱山の採掘は続き、2001年に閉山したので約30年ほど採掘は続いたようです。

また、その跡地の一部には物理学の観測、研究のために「カミオカンデ」や「スーパーカミオカンデ」と呼ばれる装置が作られ、この場所で観測した内容から日本人の小柴昌俊がノーベル物理学賞を受賞しました。

どこか、最後に当たるCF-ST-3で村長の姪で生態学者でもある滝居未来の語っていた村の未来の展望を思い出させる内容ではないかと思います。


11.インテリア「楓の秋景色」に添えられた和歌の意味とは

今回のイベントで手に入れることのできた、上のインテリア「楓(かえで)の秋景色」の説明分には、和歌と思われる以下の言葉が書かれています。

夕暮れに 秋風が立ち 色葉散る 
 
(ゆふぐれに あきかぜがたち いろはちる)
麗しき夢の 訪れしかな
 
(うるはしきゆめの おとづれしかな)
※( )内は古典風の読み仮名と思われるものを私がつけたもの

この和歌に似たものが、平安時代後期に編纂(へんさん)された金葉和歌集(金葉集とも)に収録されています。

夕されば 門田の稲葉 おとづれて
 
(ゆふされば かどたのいなば おとづれて)
蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く
 
(あしのまろやに あきかぜぞふく)
※( )内は全日本かるた協会(以下のリンク)で確認できる読み仮名

金葉集 秋 173

こちらは秋の収穫前の稲のそよぐ音と秋の風が印象的です。

これらの和歌には共通している言葉に「夕」、「秋風」、「葉」、「訪れ(おとづれ)」があります。
「葉」が使われている部分は前者は「色葉」、つまり楓の紅葉した葉、後者は「稲葉」、稲の葉と対比っぽく読めます。
また、「訪れ(おとづれ)」の部分は、漢字は同じなのですが意味は異なっており、前者は「やって来る」の意味で、後者は「音がする」の意味なのだそうです。

ちなみに、「楓の秋景色」の和歌に「色葉(いろは)」の言葉があることから、一番はじめに説明した紅葉した葉をイロハモミジ(※植物学ではモミジとカエデを区別しない)と推定した部分もあります。
ですが、イロハモミジのイロハの由来は色葉ではなく、数を数えるときに使った「いろはにほへと」のはじめの3文字といわれており、色葉の字を使ったことに面白みがあるなと思います。

そんなことを考えつつ「楓の秋景色」の和歌の意味を考えてみると、「秋の風が吹いて紅葉した楓の葉が散っていくのを見ていると、まるで美しく壮大な夢のような風景だなぁ」というような訳になると思います。

ですが、せっかくなので今回モンスターハンターという大型コラボだったのと、個人的に日本を題材にしてくれて嬉しかったこと、モンスターハンターのコラボとしてもとても評判がよかった様子であることを併せて意訳(超訳)してみると、制作者側の思いとして「このコラボ(紅炎遣らう落葉)というものを実現できたのが、美しく壮大な夢のようだなぁ」と感じてくれていたのではないかと思いました。

こちらこそ、とっても素敵なコラボをありがとうございました!


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