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物質主義からの開放【365日のシンプルライフ】

このnote記事はエンタメ大好き社会人である私がエンタメ作品で面白く教養と視座を高めることを目的とした、「意識高い系な人」に向けた記事です。記事内には「アップデートポイント」があります。作品自体ではなく私が考えたポイントですのでそれに対する賛否両論はウェルカムですが、作品自体を誹謗中傷するようなことはお控えください。今回ご紹介する映画は『365日のシンプルライフ』です。

監督・主演・脚本をすべて兼任したペトリ・ルーッカイネンの映画で2014年に日本で上映されています。今ではAmazonプライムやネットフリックスでも鑑賞可能だと思います(2020年5月4日時点)。映画の概要は以下に記しておきます。(シネマトゥデイ参照)

ヘルシンキに暮らす26歳の青年ペトリは恋人との破局を発端に、さまざまな物にあふれた生活を変えることを決意。持っている物を全部倉庫に預け、倉庫から持ち出すのは1日に1個、1年間継続、1年間何も買わないという四つのルールを課す。今、自分に必要な物を選ぶという日々の決断を通じて、彼は人生で大切な物は何かと模索するようになっていく。

最近では「ミニマリスト」とという生き方が注目されていますよね。そういう人にとっては行動ベースでもマインドベースでもとても参考になる映画かと思います。

この映画を観た率直な感想は「幸せはモノで作られていないんだな~」って感じです。生活で必要なモノはせいぜい100個程度で、生活を楽しくしてくれるものもせいぜい100個。これより多いと「自分の中でどこかでバグが起こっているのかもしれない」と感じるようになりました。自分の心のものさしよりも大きいモノがある時は価値観や心理的な面でどこか変化が起こっていると自分を客観的に見れるようになりました。あなたにもそんな経験ありませんか?


物質主義から解放されよう

ではこの映画のアップデートポイントは物質主義からの解放です。どういうことかと言いますと、「お金」「物品」などの経済的で衣食住関連のモノの「獲得」「所有」「占領」「消費」からの解放です。

具体的な例をあげますと、「この時計○○っていうところのブランドであの有名な××もつけてたんだぜ~スゴイだろ~。」「俺の年収は1千万以上で何十万もする高級タワーマンションに住んでいるんだぜ。」というような人たちがモノの「所有」「獲得」「占領」を目的とする行動や発言をしなくなるということです。

こういう人たちは人生で遭遇する様々な体験や経験を自身の学びや気づきの機会として十分に生かすこともなく、経済的な側面だけから一方的に評価や判断をしてすべてを終わらせてしまったり、一喜一憂したりする人が多いです。

こういう考えが良い悪いはいったん置いといて、「こういうスタンスで生きたいですか?」「こういうスタンスの人と関わりたいですか?」ということを問いたいです。

物質主義の対義語は精神主義と言われています。このどちらか2極化する必要は全くなく、バランスが必要だと思っています。しかし、現代では昔に比べてモノがあふれる時代となり、必要でないモノも多くなり、モノ事態に対する価値も下がってきています。簡単に食料は手に入りますし、簡単に家具を買うこともできます。だからこそ、ミニマリストのような精神的なマインドがベースの生き方が注目されているし、より自分らしく生きることができる手助けになるのだと私は考えています。

そういう人はモノの価値を分かっていますし、物質主義的な視点で人を判断したり評価したりする人が少なくとも私の身の回りにはほとんどいません。(ミニマリストを生き方としてとらえている人は物質的な人の判断の仕方をする人はいませんが、ミニマリストをファッション感覚でとらえている人は物質主義である場合が多いです)

昔話を少しすると、第二次世界大戦後の各国ではモノがなくどの国も困窮していた。言わずもがな日本もです。人々は何も持っていなかったし、貧しくて大変な時代だった。そして、人々がモノを持つようになると、何でも家に溜めて捨てなかった。

モノへの渇望が強くあった昔ではモノは多すぎる方が良かったというわけです。なぜなら安心できるから。でも現代はモノへの渇望ではなく、ステータスシンボルとしてのモノの在り方が急速に広がりました。モノへの渇望とステータスシンボルとしてのモノとの混沌とした欲求が入れ混じっているのが現代です。

そんな混沌としている中で「自分にとって本当に必要なモノとは何か」を問うことはとても重要になってきます。そのためには一度物質主義から解放される必要があります。作中ではモノであふれる生活をしていたペトリが分かりやすいですよね。ペトリは完全に物質主義でした。しかし、そこで感じます「はたしてものが溢れている今、俺は幸せなのか」と。答えはNOでした。そこからすべてのものを一度手放し、本当に自分にとって必要なモノはどれか。必要なモノが分かったうえで、自分の生活をより楽しく、豊かにしてくれるものは何なのか。物質主義から一度解放されることが自分の幸せの価値観を見直す第一歩目になることをペトリが”実験”で証明してくれています。

「モノが多いと幸せの種も埋もれていっちゃうよ」そんなメッセージ性の強いモノを感じました。

人生がより豊かになるためにも物質主義から一度離れて自分の精神的な部分に問いを投げる。それがこの映画のアップデートポイントです。


鑑賞後のすすめ

この映画の中では主人公のペトリが自分に4つのルールを課して「自分にとって本当に必要なモノは何なのか」と問い続けます。自らが課したルールを1年間必ず守り通す姿勢にはある種の狂気さや幸福とは何なのかの探究心の強さを感じとることができます。

そこでこの映画の鑑賞後のおおススメのアクションがあります。

1.シンプルライフに興味・関心のある友人とこの映画を鑑賞して、鑑賞し終えたら、「自分がまず倉庫から取り出すものは何か」と語り合う。
2.片付けに関するルールを自分に課す(例)1つ買ったら2つ捨てるなど
3.モノのない空間で1日過ごしてみる(例)山や堤防などでアウトドアを楽しむ

鑑賞後の体験を誰かと共有することはこの映画に限らず推奨しています。自分の思考のアウトプットや人間関係の構築にも役立ち、脳やメンタルにも良いと言われています。自分が倉庫から取り出すモノを話していくうちに、モノから自分の価値観や心理状態などが垣間見えます(笑)。

自分にルールを課すことはペトリと同じですね。ただ、ペトリほどストイックにする必要はないです(笑)(全裸で極寒のヘルシンキの街並みを走る必要はありません)。しかし、モノに自分の思考や幸福感を邪魔されないためにも片付けのルールを自分に課すことはモノがあふれてしまいがちな今の時代では重要になってくるでしょう。自分なりの人生が豊かになるための片付けのルールを1つ作ってみてください。

モノの無い空間で過ごしてみることは現代ではとても難しい事だと思います。情報もモノと変わりありませんから常に私たちの身の回りにはモノが溢れています。だからこそ、モノがあふれていない自然が溢れる山や、田舎などの静かなところに身を置いてみてください。日本人が美徳としてきた余白の豊かさや魅力などを思い出して心にもゆとりが生まれるかと思います。

以上の3つは私が実際に映画を鑑賞し終えてから継続的に行っていることです。是非この映画を鑑賞し終えた感想を教えてください。


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