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吉澤嘉代子さんに泣いた日

僕は、
吉澤嘉代子さんをいい意味で
友達とは思っていません。
6年前、
初めて会った時、そのはじめましての挨拶を覚えていないほどに、緊張したのを覚えています。
いまだにその感覚はずっと残っていて、
会うたびに自分らしくいられないのです。

昨日、実は
日比谷まで
吉澤嘉代子さんのライブを見に行きました。
曇りから晴れに向かうちょうどいい気候でした。
日比谷野外音楽堂のライブは
吉澤嘉代子さんの「夢」だそうです。

子供の頃
この場所でサンボマスターのライブを見たのがきっかけで、自分もこのステージに立ちたいと思ったそうです。

久しぶりに「夢」について語る人を見た気がしました。
僕は常々、映画監督になるのが夢だとまわりの人に言っていますが、そういえば、人からあまり聞いた事なかったなあと今日思いました。

野音という空間はいい空気です。
バンドの生音が公園の木々、オフィス街のビル、
小さい空にこだまします。
1曲目の「東京絶景」は、
東京に夢を持ってる人々の歌です。
アンコールでよく歌われている歌が
冒頭で、それは吉澤嘉代子さんの夢のための一曲であり、僕自身の回顧、吉澤嘉代子さんとつくってきたさまざまな作品が蘇ってきました。
出会いは「ケケケ」でしたが、それは歌われず笑。
今日のライブは大好きな曲ばかりが歌われる。
月曜日戦争、怪盗メタモルフォーゼ、麻婆、
選ばれし子供達の密話、サービスエリア、、、

「残ってる」のイントロがなった時、
夕方に向かう野音は、朝のような余韻と
モトーラ世理奈さんとMV撮影した朝を思い出す。
夕方に向かう野音の空を見ながら
今日は、生演奏がグッと心に刺さってきました。
この曲がすきとか、歌詞が好きとか、関係なく歌と音のパワーで、涙があふれてしまった。
「movie」「泣き虫ジュゴン」「ストッキング」
と続く流れは、異空間に飛び込んだような気分でした。
切ないメロディが心地よく、
泣き虫ジュゴンは、MV撮影を思い出す。
アイデアを考えながら歌詞の意味を想像した。
ブルーをテーマに決めて、魚を撮影したり、
何度も何度もプールに飛び込んだりした。
僕も吉澤嘉代子さんもまだ青かった時代。
イントロが鳴った瞬間に、水の中にいるみたいに感じた。
ストッキングは、僕が一番好きな曲。
吉澤嘉代子さんが、自分が特別な人じゃないって気づいた日。
夢に本気でむかう、子供の頃の根拠のないチカラがほしいと歌った歌。
僕もそんな日があったし、
今も子供の頃の自分と対話する。
僕は子供の頃の憧れの僕だろうか。
今も
あの頃の根拠のないチカラがほしい。
疾走感のあるメロディが切ない。
さまざまな思いが交錯する。

「ものがたりは今日はじまるの」は
ここまでやってきて、まだまだ道は続く感覚と
コンサートのラスト曲で言うと、海援隊の
「思えば遠くへ来たもんだ」や
桑田佳祐の「祭りのあと」を聴いている気分だった。
そこからのアンコールは、
客席から歌うと言う演出の吉澤嘉代子さんが
近くて、眩しくて、月が見えて、本当に幻想的で、あとはあまり覚えてません。

帰り、
この情緒的な気持ちを伝える言葉がみつからないので、僕は会わないで、挨拶しないで
帰ろうかなと思ったのですが、
吉澤嘉代子さんのこの夢の日に
やはり会っとかないといけないと思い
すこしだけ会いました。

吉澤嘉代子さんには、
時に想いがぶつかり、
困らせてしまう事もあります。
(実は少し前にも困らせ事件がありました笑)
でもいつも何もなかったかのように
受け止めてくれるのです。

今、
吉澤嘉代子さんには
お願いしている事があります。
それは、僕の夢の事です。
「野音の夢おめでとう、
次は僕の夢、よろしくお願いします」
それだけ伝えて帰りました。

吉澤嘉代子さんは
素晴らしいアーティストです。
こんなに才能あるアーティストと
出会えて光栄です。
たくさんたくさん仕事をしてきました。
依頼され、時には依頼し、その度に
その才能にずっと驚かされてきました。
だから僕の夢を叶える時は、
この人と一緒じゃないといけないと思います。
その日を楽しみに
今日も僕は、
吉澤嘉代子さんの歌を聴くのです。

初めに、吉澤嘉代子さんは、
友達と思っていないと書いたのですが、
それは、どんな友達ともまた違う、
その殻を破らないままでいたい
特別な存在であるということ
なのかもしれません。

6月20日の野音、
大切な思い出になりました。

(写真は2014年、初撮影のアザーカットです)

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