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【ラジオCM】 「関東エアコン専門卸売センター」 この名を記憶に残すには?

20秒のラジオCM。

一度でも作ったことのあるかたなら、わかってもらえると思う。おそろしく尺が短い。台本を書き上げて読んでみると、たいてい、20秒を超えてしまう。

したがって、商品や企業のセールスポイントは1つに絞るのが基本。たくさんのことをアピールしても伝わらない。いやそれ以前の問題として、20秒では物理的に“たくさんのこと”を収めるのは不可能なのだ。


ただし、例外もある。このコピーは20秒ラジオCMの常識から外れた、稀な表現である。


〈オフィスにて〉

社員 社長。うちの会社名、ちょっと長すぎないスか。
社長 じゃ、略して「センター」
社員 それじゃ何売ってんのか分かんないスよ。
社長 じゃ「エアコンセンター」
社員 もっと地元を大切にしなきゃ。
社長 「関東エアコンセンター」
社員 専門店の良さもアピールしたいし。
社長 「関東エアコン専門センター」
社員 卸売だから安いわけで…。
社長 えーい。うるさい!!

N だから、関東エアコン専門卸売センター。

第17回ラジオCMコピー大会 糸井重里賞


受賞後、私は掲載誌「広告批評」にこんなコメントを書いていた。

どう考えても長い。長すぎる。
言いにくい、覚えにくい。
20秒のラジオCMにもっとも向かない名前。
80年代のC.I.ブーム以降、
カタカナのおしゃれな社名が増えたが、全く気にせずか。
いったい社長は何を考えてるんだ?
社員の言い分はどうなのか。
エアコンの会社だけに風通しはいいはずだ。
そんなことを考えていたら、
「積み木のような」「ナイスな」コピーができました。

※「積み木のような」「ナイスな」は、
審査員だった糸井重里さんが
このコピーを評して発した言葉から拝借


ちなみに。

「関東エアコン〜」のコピーは、“20秒にたくさん収めるのは不可能”という悪条件に私が果敢にチャレンジした表現。世の中には私と同様、そういうチャレンジがお好きなコピーライターがいらっしゃるようで…。

そのラジオCMは20秒ではなかったと思うが(60秒だったかな?)、初めて聞いたときは思わず“耳が釘づけ”になった。
ナレーターが最初から最後まで、超早口で商品の特徴を大量に喋りまくるのである。あまりに早口すぎて聞き取れない。でも聞き取れないから、むしろ聞こうとしてしまう。
週に一度、その番組内でオンエアーされるたびにそのCMを聞いていた私は、聞き取れないCMを必死で聞き取ることにある種の快感・達成感を覚え始め、結果、その商品の特徴を大量に脳内インプットされてしまったわけである。



いやー、ラジオCMって、奥が深いですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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