月ノ美兎「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」がとんでもない作品だった

めちゃくちゃにすごいアルバムなんだって本当に・・・・・

月ノ美兎氏といえばヴァーチャルユーチューバーブームといわれはじめた2018年より活動をしているVtuberの一人で狂人でもある。

そんな彼女がアルバム「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」をリリースした。恥ずかしながら知らなかったのだが、紅蓮華のLiSAや、まどマギ仮面ことClariS、「GO!!!」のPVの間奏の謎超人でおなじみのFLOWなどそうそうたるメンバーが所属するSACRAMUSICからの発売だそう。すっげ

まぁ楽曲を出すとはいえまぁバンドでいうとこのベストアルバムというか、キャラソンを集めました~みたいなものかなと思ったが全然違った。

アルバムにはメジャーデビューシングルの表題曲「それゆけ!学級委員長」のほかササキトモコ、 ASA-CHANG&巡礼、いとうせいこう is the poet、大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮)、長谷川白紙、 広川恵一(MONACA)、堀込泰行、TAKUYA(ex.JUDY AND MARY)、NARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)らが手がける新曲計10曲収録される。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/b32370fd2291ddeaa52f0dd10aa41572693c25ed)

ほぼ新曲、かつ豪華制作陣なのである。おいおいおいおい・・・ここまで信頼できる生産者表示ありますか?サブカルとオタクの日付変更線を往復する小生にとっては興奮のラインアップである。Vtuber・月ノ美兎のキャラソンではなく、一曲ごとに表情が異なりすぎてCV:月ノ美兎のコンピレーションアルバムじゃないかこれ??USJの中に「月ノ美兎ワールド」でもつくるんか?(は??????)

てな調子で1曲ずつを超個人的解釈で紹介する。

1.月の兎はヴァーチュアルの夢をみる
作曲を担当するASA-CHANG&&巡礼氏は「ハナガ…サイタヨ」でおなじみアニメ「惡の華」のスーパートラウマED「花 -a last flower-」を作った御方だ。混沌と羞恥をないまぜにした曲で耳に残っている人も多いかもしれない。
そんなASA-CHANG&巡礼の世界観をしっかり引継ぎつつ、この「月ノ美兎ワールド」の入口には「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」というデカい看板が掲げられている。それを指し示すかのように、最初から最後まで「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」という歌詞だけで成立している。だんだんと豪華になるストリングスが、吸引力の変わらないただ一つの掃除機よろしく、リスナーをつかんで離さない。

2.それゆけ! 学級委員長
やや強引にも「月ノ美兎ワールド」に連れ込まれた我々はここが楽園であることを知る。ここは土曜夕方のEテレにて放送されていた「それゆけ! 学級委員長」の世界なのだから・・・。
どこをどう切り取っても「THE王道キャラソン」すぎる。彼女が好きな「THE IDOLM@STER」の世界観にも通じる曲を、アイマス楽曲で有名なササキトモコ氏が制作。ササキ氏によるアイドルたちの「かわいらしさ」を引き出すうまみ成分が、この曲にも大さじ5杯ほど入っている。「正義の味方は学級委員長」という表現、キャラソンとしてあまりに唯一無二。

3.ウラノミト
只野菜摘氏&広川恵一氏というMONACAエッセンスにより、なんだかアダルティなアイドルっぽさを感じる。「それゆけ~」がXY軸であるなら「ウラノミト」はZ軸といったところで新たな切り口が見えてくる。。彼女が以前カバーした「forフルーツバスケット(2019年リリース、IMAGINATION vol.1)」でも思ったのたが、湿り気のある発音や息遣いだったり、歌い上げないといった月ノ美兎の持ち味をいかんなく発揮している。

・・・何度もきけば聴くほどどういうことなのかと頭を抱えたくなる。彼女のビジュアル的な可愛さ、外面と配信でみせる混沌の内面を表現したのか。

4.光る地図
濁流とワルツと濁流とワルツ。なんだか速度が変わるメリーゴーランドに乗せられている気持ちになる。
あっれれ長谷川白紙さんってどっかで聞いたことあるな~と思ってたけど…
https://youtu.be/BIOitNUbSm4 そうそうパソコン音楽クラブの「hikari」という楽曲で歌ってらっしゃった方ですね。シンセでご飯何杯でも食べれる当方としましては、月ノ美兎ヴォイス×長谷川白紙の組み合わせは今後もあるといいなぁと勝手に期待。

5.浮遊感UFO
「作詞:大槻ケンヂ」、、、、え???ゑ???・・・・

非常にダンサブルなロックチューン。サブカルオタクとしてはこの気持ちいいギターに月ノ氏のしっかりとした歌い方、大槻氏の歌詞という組み合わせは、こちらの気持ちもフワフワしてしまう。ディストーションもりもり高森 こうじ(fromすき家RADIO)なとこも好きです。個人的には「この曲、○○っていうバンドみたーい」っていうの好きじゃないけど、思わず相対性理論を連想してしまった。

6.みとらじギャラクティカ
令和の「ミュージック・アワー」かい。サビで手を横に振ってしまいましたわよ。電波ソングの類義語ことIOSYSによる制作、エレクトロと緩急に笑っちゃった。耳に入ってくる電子音が本当に気持ちいい。けものフレンズよろしくゆかいな宇宙人とラジオでつながるコメディ要素といい「月ノ美兎 CV:月ノ美兎」と「コメント欄 CV:月ノ美兎」「洗濯機CV:月ノ美兎」「宇宙人CV:月ノ美兎?」という落語みたいな立ち回りは寄席でした。

7.部屋とジャングル
作詞・作曲:堀込泰行 編曲:矢野博康
元キリンジの堀込氏とCymbals矢野博康という渋谷系的ポップスによる楽曲。これまでの曲と比べるとゆっくりで明るい曲にも関わらず「休みをくれよ」「どこかへ行ってしまいたい」という「念」というか闇みたいなものも感じる二面性。
ラブコメかと思ってたら途中から不穏な空気が流れ、衝撃なラストで社会現象になったテレ朝の深夜ドラマ「野々倉サリーは静かに暮らしたい」主題歌にも使われていた気がする(使われていないしそもそもそんなアニメはない)

8.ウエルカムトゥザ現世
完全に「視え」ました…当方、元FBI捜査官なのですが、ソニーミュージックのCMの出だしの「ギャーン」みたいなあとにこの曲のサビが流れるのが見えます。私が透視したところ、夕方の銀魂かブリーチ見てたらこのCMが流れていました。銀魂のOPのようです。

制作陣はジュディマリTAKUYA氏ということから、古き良きJ-POP×アニメエッセンスを感じる。アニソンや近年のJ-POPといえばギターの主張を抑えたりすることも多いが、2021年にこんなに前面にギターとボーカルが前に出てくる曲に出合うことができ感謝。圧倒的感謝。こんな歌い方もできる月ノ氏に感服。

9.NOWを
本格的な日本語ラップの第一人者でもある、いとうせいこうによる楽曲。誰も思いつかない組み合わせに衝撃。いとう氏のポエトリーラップやビートに乗り方といい…いとうせいこうが月ノ美兎に乗り移っている。ここまで月ノ美兎8変化を見せられ、無限の可能性を感じていたがこんなの持ってこられたら開いた口がふさがらないじゃないか。

おいおいサビでいとうせいこう出てきたんだが。驚きで口開けてる人間にサブウェイのサンドイッチ入れてくるなよ。心臓止まるかと思ったわ。というか止まったので天国から文字を打っています。

10.Moon!! (Avec Avec Moonlight Power Pop Re-Arrange)
ライブの最後でこれ聴いたら泣いちゃう泣いちゃう・・・Moon!!は月ノ氏のファンiru氏が作曲し、初のオリソンでもある。これまでの9曲聴いてきて改めてこの曲聞くと、ここまでの豪華楽曲制作陣、無限の可能性に「月ノ美兎・・・遠くに行っちまったんだな」というさみしさを薄っすらと感じたりもしていたが、それを否定するかのように、Moon!!の歌詞はこれからも活動が変わらないことを改めて誓うようにも聴こえたりする。AVEC氏によるリ・アレンジがそういった気も気持ちにさせているのかもしれない。


追記

みとラジギャラクティカの「3倍アイスクリーム」ってなんだっけと思ったけどあれだ。ゲットワイルドだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?